文字通り、軽貨物ドライバーは軽貨物車を用いて配達を行います。そのため、これから軽貨物ドライバーになるという方の中には、新しく車を購入しなければならないという方も多いでしょう。

ただ、そこで気になるのが税金です。

ご存知の通り、車を所有するには決して安くない税金が発生しますが、その金額は車種によって異なります。そのため、軽貨物車を購入するにあたり、具体的にどれだけの税金がかかるのかをあらかじめ知っておくことが重要です。

今回のコラムで軽貨物車の税金について詳しく解説していくので、ぜひご覧ください。

軽貨物車の定義

名前の通りですが、「軽貨物車」とは貨物車の中でも軽自動車に該当する車両を指します。

いわゆる軽バンや軽トラが当てはまりますが、軽トラはともかく、軽バンは軽ワゴンと区別が付きにくいですよね。例えば、軽バンの人気車種にスズキの「エブリイ」がありますが、同じくスズキの「エブリイワゴン」と比べて外見上はほとんど違いが見当たりません。

しかし、ナンバープレートの分類番号が通常の軽自動車は「3」で始まるところを、軽貨物車は「4」で始まっていたり、車内の構造が違っていたりと、明確な違いがあります。

4ナンバー車の条件

ナンバープレートの分類番号が「4」で始まる車を「4ナンバー車」と称することがあります。そのため「軽貨物ドライバーが使用する車」という意味で「4ナンバー車」ということもありますが、正確には以下の条件に当てはまる小型車を指します。

  • 全長:4,700mm以下
  • 全幅:1,700mm以下
  • 全高:2,000mm以下
  • 排気量:2,000cc以下

小型車といっても軽自動車だけではありません。上記の規格に収まるのであれば、普通車でも小型車に該当します。

そのため、軽貨物車は4ナンバー車に含まれはするものの、全く同じ意味というわけではないと認識しておきましょう。

軽貨物車の区分

さらに軽貨物車の中でも用途が「自家用」のものと「事業用」のものに分類されます。車検証の上部に記載されている「用途」の項目で見極めることができますが、モノやヒトの運送などに使用されるのが「事業用」であり、配送業者が使用するのも「事業用」に該当します

様々な区分があり、非常に複雑ですが、結論として軽貨物ドライバーが使用するのは「事業用の軽貨物車」ということになります。それによって税金の金額も変わってくるため、最低限それだけでも押さえておきましょう。

事業用の軽貨物車の税金は安い?

軽貨物ドライバーが使用する車の区分について説明しましたが、結局重要なのはその区分の車の税金が安いのかどうかということです。

車の維持費の大部分を占めるということもあり、必ず把握しておくべきですが、通常の自家用車と比較して、事業用の軽貨物車の税金は少し安くなっています。一つひとつの税金において、自家用車と事業用車を比較していくので、確認してみてください。

軽貨物車にかかる税金・法定費用

軽貨物車にかかる税金、あるいは法定費用は一般的な車と同じく、以下の項目が挙げられます。

  • 環境性能割
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 印紙代

しかし、前述の通り金額が異なるため、具体的にどれだけかかるのかを把握しておきましょう。

環境性能割

車を購入した時にかかるのが「環境性能割」です。以前は「自動車取得税」という名称でしたが、2019年10月に現在の名称に変更されました。

車の価値に対して一定の税率分が課せられますが、税率はその車の燃費性能によって異なります。新車・中古車問わず発生する税金ですが、新車の軽バンの場合は2万円前後であることが多いです。

自動車税

  自家用 事業用
自動車税 5,000円 3,800円

※本コラム作成時点での情報です。

毎年4月になった時点でその車の所有者に支払い義務が生じるのが「自動車税」です。車の排気量によって金額が決められていますが、軽自動車の排気量は全て660ccなので金額も基本的には一律です。

ただし、上図のように自家用と事業用とで異なり、軽貨物ドライバーが使用する事業用車の方が安くなっています

自動車重量税

  自家用 事業用
自動車重量税 6,600円 5,200円

※本コラム作成時点での情報です。

名前の通りですが、「自動車重量税」はその車の重量に対して課せられる税金です。自動車税と同じく、軽自動車の金額は一律ではあるものの、自家用と事業用とで金額が異なります。

ただ、自動車重量税は2年に1回の車検を受ける時に支払う税金であるため、頻度でいえば、自動車税の半分で済みます

自賠責保険料

  自家用 事業用
自賠責保険料 17,540円 17,540円

※本コラム作成時点での情報です。

「自賠責保険料」も車検時に支払う税金であり、こちらは自家用でも事業用でも変わりありません。ちなみに名前に「保険」と付いていますが、任意保険とは違ってこちらは加入が義務付けられています

とはいえ、補償対象となるのは対人事故で生じた賠償損害のみであるため、やはり任意保険と合わせて加入することが望ましいです。

印紙代

  自家用 事業用
印紙代 1,400円前後 1,400円前後

※本コラム作成時点での情報です。

車検を受ける際の書類などに貼り付ける「印紙代」も法定費用の1つです。金額は特別高くありませんが、印紙代のみ、車検を受ける機関によって金額が多少変動する可能性があります

軽貨物車の車検期間

  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 印紙代

前述した中でも上記の3つは車検を受ける時に発生する税金ですが、その車検期間にも注意しなければいけません。

  初回(新車時) 2回目以降
5ナンバー 3年 2年
4ナンバー(普通車) 2年 1年
4ナンバー(軽自動車) 2年 2年

上図の通り、一般的に使用されている5ナンバーの車は初回が3年、2回目以降が2年となっていますが、4ナンバーの車は異なります。さらに4ナンバー車の中でも普通車と軽自動車とで期間が異なるため、きちんと把握しておかなければいけません。

軽貨物車の車検・点検費用

税金に関しては既に説明した通りですが、車検を受ける際は他にも業者に支払う基本の点検費用や、交換が必要な部品代などが発生します。

それらを合計すると、安くても一度の車検で5万円前後の費用が発生するでしょう。もちろん、交換部品や不具合が発生すると費用はさらに高額になります。

ちなみに法定費用である税金は一定であるものの、手数料や整備費用はどの業者に依頼するかで大きく異なります。例えば、正規のディーラーは確実で丁寧に整備してくれますが、その分費用は高くなると理解しておきましょう。

軽貨物車の税金・車検費用は経費計上できる

ここまで説明したことを全て踏まえると、軽貨物車を維持するにはかなりのコストが発生します。

一つひとつの項目を節約するのも重要ですが、基本的にそれらは全て経費計上できるということを押さえておきましょう。かかったコストを漏れなく経費計上することで所得が減り、納税金額を抑えることができます。

税金や車検費用のほか、ガソリン代や駐車場代も経費になります。

正確に税金を把握してシミュレーションしてみよう

本文で解説したように、車の税金にはいくつもの項目があり、非常に複雑です。中でも軽貨物車は通常の車とは扱いが異なるため、戸惑ってしまう方も多いでしょう。

それにも関わらず、合計のコストは高額であるため、一つひとつの税金の金額を正確に把握し、事前にどれほどのランニングコストがかかるかシミュレーションしてみてください。

当然、軽貨物ドライバーには車関連以外のコストもかかるため、より細かく、具体的にシミュレーションし、収支計画を立てることが重要です。