軽貨物ドライバーはたった1日で何件もの配達業務をこなすことになります。当然、荷室にはいくつもの荷物が詰め込まれていますよね。

しかし、荷物を詰め込む際には過積載に気を付けなければいけません。過積載とはその名の通り、本来定められている積載量をオーバーする荷物を載せて走行する行為のことですが、少なからず危険が伴い、罰則が科せられることもあります。

軽貨物車の過積載について、今回のコラムで詳しく解説していくので、良ければぜひ最後までご覧ください。

軽貨物の最大積載量

まずは軽貨物車の最大積載量について理解しておきましょう。一般的に軽貨物車といえば軽トラか軽バンのいずれかを指しますが、それぞれの最大積載量は以下の通りです。

  • 軽トラ:350kg
  • 軽バン(2名乗車):350kg
  • 軽バン(4名乗車):250kg

メーカーや車種に関わらず、軽トラも軽バンの最大積載量は基本的にどれも350kg。軽貨物ドライバーとして業務に取り組む際は2人以下で乗車することがほとんどですが、4人が乗車する際は最大積載量が下がることに念のため留意しておきましょう。

軽貨物の最大積載寸法

次に軽貨物の最大積載寸法についてですが、まず軽バンであれば基本的に気にする必要はないでしょう。車内の荷室に収まるのであれば、どれほどのサイズの荷物でも問題ありません。

ただし、軽トラの場合は注意が必要です。荷台に天井がない分、どれだけでもはみ出せますが、そのサイズの上限はきちんと制限されています。

  • 最大積載の長さ:車体の長さの2/10
  • 最大積載の幅:車体の幅の2/10
  • 最大積載の高さ:地上高2,500mm

上記は2022年5月の道路交通法改正以降の規格であるため、以前のものと勘違いしないように注意してください。

長さと幅の制限は車体の2/10とありますが、前後左右にはみ出せるのはそれぞれ10%までとなっています。例えば、車体の左側に車体の2/10分はみ出すことは規定違反となります。

軽貨物の過積載に罰則・ペナルティはある?

結論として、軽貨物車であっても過積載を犯してしまった場合は相応の罰則が科せられます。

  • ドライバー
  • 事業所
  • 荷主

上記それぞれの立場の人に対して別の罰則が科せられるので、確認しておきましょう。

ドライバーに対する罰則

過積載の割合 違反点数 反則金
5割未満 1点 25,000円
5割以上10割未満 2点 30,000円
10割以上 3点 35,000円

まず、実際に軽貨物車を運転していたドライバーに対しては、最大積載量をオーバーしていた重量に合わせて上図のような罰則が科せられます。

反則金の他にも、取り締まりなどで過積載が発覚した時点で現場で積み荷を下ろされることになります。

事業所に対する罰則

軽貨物ドライバーに過積載状態での運転を命じたとして、契約する事業所も処分の対象になります

  • 過積載車両に係る公安委員会による指示
  • 過積載運転に係る自動車の使用制限処分
  • 罰則

主にこれら3つが科せられ、もう少し具体的に解説すると、罰金や懲役、さらには一時的な事業の停止などを命じられることがあります。

荷主に対する罰則

事業所と同様、荷主にも罰則が科せられる可能性があります。

  • 過積載車両の運転の要求等の禁止
  • 協力要請書、警告書及び荷主勧告の発動

主にこれら2つの処分がなされ、過積載運転の再発防止命令が下されます。さらに再発防止命令に違反した場合、罰金や懲役が科せられます。

過積載状態で走行するリスク

過積載に罰則が科せられるのは相応のリスクがあるためです。主に以下のような危険やデメリットがありますが、自身を守るためにも把握しておきましょう。

  • 制動距離が伸びる
  • 曲がりにくくなる
  • 視界が悪くなる
  • 衝突時の衝撃が大きくなる
  • 車体の故障・劣化を招く
  • 燃費が悪くなる
  • 荷物を取り出しにくくなる
  • 道路を痛める

制動距離が伸びる

大量の荷物を載せた時に最も気を付けなければならないことの1つは、ブレーキを踏んだ時の制動距離が伸びるということです。1人で車に乗っている時に比べて、乗車人数が多い時はブレーキが効きにくいと感じたことがある方は多いでしょう。

過積載にまでなると制動距離の違いは明確で、普段とのギャップも大きい分、止まれると思っていたはずが前の車に衝突してしまうという可能性も高まります。

曲がりにくくなる

ブレーキが効きづらいということはカーブでも曲がりにくくなるということです。遠心力が強まり、思うように車を操作できなくなってしまうリスクがあります。

特に軽貨物ドライバーは短時間で多くの荷物を配送するため、つい焦って運転してしまうことも多く、事故のリスクはさらに上がってしまいます。

衝突時の衝撃が大きくなる

過積載するほどの荷物を載せているということは、当然車の総重量も重くなるということですよね。制動距離が伸び、曲がりにくくなるということで何かに衝突するリスクが高まるのはもちろん、その時の衝撃も大きくなってしまいます

自身はもちろん、衝突してしまった対象にも大きな損害を与えてしまう可能性があります。

視界が悪くなる

もし荷室や荷台いっぱいに荷物を詰め込んでしまうと、ルームミラーが見えなくなり、特に後方に対する視界を狭めてしまいます

それ自体は違法ではないため、実際にルームミラーが機能しなくなるほどの荷物を詰め込むことは珍しくありませんが、少なからず安全性を欠いてしまうことは理解しておきましょう。

車体の故障・劣化を招く

最大積載量が定められているのはドライバーや周囲のためではなく、車体そのものを守るためでもあります。

想定される重量を超える荷物を載せることは車にも過剰な負荷をかけることになり、故障や劣化を招きます。わかりやすいところでいうと、重量が増えることでタイヤの摩耗を早めるといった影響が挙げられます。

燃費が悪くなる

重量の増加は燃費の低下にも繋がりますよね。

あくまで参考としての数字ですが、軽自動車は荷物を100kg載せる度に燃費が約1km/L低下するといわれています。もともと軽バンの燃費は15km/L程度ですが、そこから1km/L落ちるとガソリン代もそれなりに変わってきます。

確かに同時にたくさんの荷物を載せれば生産性は上がるかもしれませんが、同時にガソリン代もかかってしまっていると覚えておきましょう。

荷物を取り出しにくくなる

荷室をわかりやすく整理し、いちいち荷物を探す手間を短縮するというのは軽貨物ドライバーとして必須のテクニックですが、やはり荷物が増えるほどその難易度も上がります。

それこそ最大積載量を超えるほどの大量の荷物だと、並の軽貨物ドライバーでは整理しきれないでしょう。

逆に配達効率を下げてしまう可能性は十分あるので、その点でも一度に載せる荷物は適量に留めておくのが望ましいです。

道路を痛める

「過度な重量がかかることを防ぎ、道路を守る」というのも最大積載量が定められている理由の1つです。とはいえ、いくら過積載といっても軽貨物車の重量は知れているので、主に大型トラックなどが関係してくる理由ですが、ドライバーとして一応知っておくと良いでしょう。

軽貨物の過積載は許可申請が可能

どうしても過積載の状態で走行しなければならない場合、警察署に制限外積載の許可申請をすることで、一時的に認可を受けることができます。

  • 制限外積載許可申請書
  • 運転免許証(コピー可)
  • 車検証(コピー可)
  • 運行経路図
  • 積載状態図

※管轄の警察署によって異なる場合があります。

ただし、申請が承認されるのはあくまでやむを得ないケースに限ります。また、承認まで数日かかるため、日時がわかり次第、早めに申請することが望ましいです。

原則過積載は禁止!ルールを守って安全運転を

解説した通り、軽貨物車には厳格に最大積載量が定められています。罰則を回避するというより、安全に業務を遂行するために必ずルールを守って運転してください。

当サイトでは他にも軽貨物ドライバーに向けて様々な情報を発信しています。これから軽貨物ドライバーになる方、既に業務を開始している方はぜひ他のコラムもご覧ください。