近年、注目度が高まっている業務委託ドライバー。長距離トラックドライバーとは違い、普通自動車免許さえあれば誰でもすぐに始められると徐々に人気が高まっています。

隙間時間を使ってマイペースに働く方もいれば、専業として高収入を得ている方もいますが、気になるのは正社員ドライバーとどのような違いがあるのかということです。どちらの方が稼げるのか気になる方も多いでしょう。

雇用形態が違えばそれぞれメリット・デメリットがあるということで、今回のコラムでは軽貨物ドライバーにおける、業務委託と正社員の違いを解説していきます。

業務委託ドライバーと正社員ドライバーの違い

早速、業務委託ドライバーと正社員ドライバーの違いを各項目に分けて詳しく解説していきます。基本的な業務は同じでも少なからず相違点があるので、確認してみてください。

  • 報酬形態
  • 業務時間・稼働スケジュール
  • 業務の確保
  • 経費の負担
  • 業務内容
  • 福利厚生

報酬形態

軽貨物ドライバーに限らず、業務委託は働き手が個人事業主として開業し、提携した企業から業務を受注するという形態です。必然的に、直接雇用である正社員とは報酬形態や関連する労働基準法の項目も異なります。

わかりやすい例でいうと、正社員は毎月決まった額がもらえる固定給制が主流であることに対し、業務委託は配送個数に応じて報酬が決まる成果報酬制であることも少なくありません。

最低賃金も適用されないため、極端にいえば、きちんと仕事場に出向いたところで1個も配送することができないと、報酬がゼロということもありえます。

業務時間・稼働スケジュール

1日の業務時間、1ヶ月の稼働日数などを自由に決められるのは業務委託ドライバーの大きなメリットでしょう。配送業者との契約によってある程度稼働スケジュールが固められている場合もありますが、必ずしも正社員のようにフルタイムで働かなくてはいけないというわけではありません。

副業として働きたい方、家事の合間を縫って働きたい主婦の方は短時間での稼働でも問題ありません。反対に稼働時間の上限などもないため、たくさん働いて高収入を得ることも可能です。

業務の確保

意外に重要なのが、業務の確保です。

例えば正社員の場合、業務の割り振りは雇用主である企業側が行います。仮に仕事がないとしても、決まった額の給料が支払われるでしょう。

一方、業務委託ドライバーは自分で仕事を取りにいかなくてはいけません。昨今、配送業界でドライバー不足が深刻化していますが、抱えている業務の量は事業所によって異なります。

1つの事業所だと十分な業務が確保できないため、複数の事業所と提携している業務委託ドライバーも珍しくありません。

経費の負担

業務委託ドライバーは業務上必要な経費を自分自身で負担しなければいけないという点に注意しなければいけません。

  • ガソリン代
  • 車検・整備費用
  • 保険料

上記はあくまで一部ですが、軽貨物ドライバーは意外に経費がかかります。業務委託だとこれらの経費はドライバー自身が負担するというケースが多く、それらも踏まえて収支を計算しなくてはいけません。

特にガソリン代などは値段の変動も激しく、注意する必要がありますが、事業所によってはそういったコスト相場の変動を報酬に反映させてくれるケースもあります。求人案内や面談などで確認してみると良いでしょう。

業務内容

業務委託でも正社員でも、軽貨物ドライバーである以上は荷物の配送が主な業務でしょう。

しかし、正社員の場合は配送以外にも事業所に関わる雑務など、様々な業務を割り振られることが一般的です。それを良い悪いと捉えるかは人によって異なりますが、業務委託ドライバーの場合は基本的にそのようなことはありません。

特に配送した荷物の個数に応じた成果報酬制である場合、配送以外の業務は実質タダ働きのようなものです。そういった事情から、業務委託と正社員とでは実際の業務内容に関しても少なからず違いが生まれることになります。

福利厚生

最後に福利厚生です。

  • 社会保険
  • 通勤手当
  • 家賃手当
  • 特別休暇
  • 結婚祝い金
  • 出産祝い金
  • 退職金制度

企業によって異なりますが、正社員の場合は上記のように充実した福利厚生を受けられます。特に近年は福利厚生の拡充に力を入れる企業が増えており、就職時には誰もがどのような福利厚生があるのかをチェックするのではないでしょうか。

一方でそのような福利厚生がないのは業務委託ドライバーのデメリットだといえるでしょう。

「業務委託契約を交わしている方に福利厚生を適用してはいけない」という規制があるわけではないため、結局は企業の方針によりますが、基本的にはないものと理解しておきましょう。

業務委託より正社員の方が稼げる?

結局、業務委託ドライバーと正社員ドライバーはどちらが稼げるのか、気になる方も多いでしょう。

解説したように、雇用形態が異なると報酬を含めて様々な違いがあります。細かい条件を一つひとつ考慮していくとなかなか判断が難しくなっていきますが、総合的な収入はほとんど変わらない場合が多いというのが結論です。

固定報酬でも成果報酬でも、時間換算すると平均的には業務委託ドライバーの方がやや高くなる傾向にあります。

ただし、解説したように業務委託ドライバーは経費を自分で負担しなければならなかったり、福利厚生がなかったり、といったデメリットもあります。それらを全て踏まえると、収入の差は意外にないことがわかります。

正社員の完全成果給制は禁止

もう一点、報酬形態に関してお伝えしたいことは「正社員の完全成果給制は禁止されている」ということです。

文字通り、100%業績に応じて報酬額が決まるのが完全成果給制ですが、そうなると報酬がゼロになる可能性が全くないわけではありません。同時に報酬が最低賃金を下回ってしまうことになるため、正社員を完全成果給制を労働させることは禁止されています。

ただし、業務委託ドライバーは別です。

  • 固定報酬制
  • 固定報酬+成果報酬制
  • 完全成果報酬制

上記した報酬形態のいずれでも問題ありませんが、もし少しでも収入を上げたいということであれば、完全成果報酬制の事業所を選び、効率的な配送を徹底するのが良いでしょう。

業務委託と正社員はどちらがおすすめ?

ここまでを踏まえた上で、業務委託ドライバーと正社員ドライバーのどちらがおすすめかということですが、どのような目的で軽貨物ドライバーになりたいかによって変わります。

  • 業務委託ドライバーに向いている人の特徴
  • 正社員ドライバーに向いている人の特徴

上記の2つに分けて解説していくので、参考にしてみてください。

業務委託ドライバーに向いている人の特徴

まず、業務委託ドライバーに向いている人の特徴としては、以下のような項目が挙げられるでしょう。

  • マイペースに働きたい
  • 副業として働きたい
  • 本気で高収入を狙いたい
  • 短期で働きたい
  • しっかり自己管理できる

総括して「自由に働きたい」ということが業務委託ドライバーになるべきかどうかを決める際の決め手になるといえます。もちろん、一般的な業務と同じ、週40時間程度の稼働でも業務委託ドライバーになる意味がないというわけでもありません。

ただし、業務委託ドライバーはあくまで個人事業主。成功するかどうかは自分次第なので、しっかりと自己管理できることが必須条件です。

正社員安定して働きたいドライバーに向いている人の特徴

次に、正社員ドライバーに向いている人の特徴は以下の通りです。

  • 安定して働きたい
  • 職場でのコミュニケーションを大切にしたい
  • 仕事のオン・オフを明確にしたい

やはり給与や雇用が安定しているというのが正社員ドライバー最大の魅力です。

また、先ほども少し触れましたが、業務委託ドライバーは業務の確保に苦労することも珍しくありません。仕事をしていない時間も焦りや不安に追われて、プライベートを楽しめなくなってしまう恐れがあるため、オン・オフの切り替えをはっきりしたいという方にも正社員が向いているかもしれません。

業務委託or正社員のどちらになるかは自分次第!

文中で解説したように、業務委託ドライバーと正社員ドライバーにはどちらもメリットとデメリットがあり、条件的にどちらかが優れていると決めることは難しいです。

ただ、いくつもの違いがある分、自由に働きたい場合は業務委託ドライバー、安定して働きたい場合は正社員ドライバーと、それぞれに向いている人の特徴ははっきりしています。まずは自身がどちらを希望するかで考えてみても良いでしょう。

また、軽貨物ドライバーになる上で知っておかなくてはいけないことは他にもたくさんあります。良ければ他のコラムもぜひ読んでみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。