2023年の夏、ガソリン代高騰が大きな話題となり毎日のようにニュースで取り上げられていました。2024年は価格の上昇がある程度落ち着くと予想されていますが、再び大規模な値上げが発生する可能性も否定できません。

運送業を営む企業や個人で仕事を請ける軽貨物ドライバーにとって、ガソリン代の高騰は死活問題です。ガソリン代を節約することは、配送ドライバーの急務だと言えるでしょう。

今回のコラムでは、配送業務で発生するガソリン代を節約する方法を詳しく解説していきます。ガソリン代を経費として自ら負担しなければならない軽貨物ドライバーの実情も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ガソリン代の高騰が配送業者へ与える影響

冒頭でもお伝えした通り、ここ数年でガソリン代は急激に高騰しており、2023年夏にかけて大きな値上がりを見せました。2024年に入って若干の値下げはありましたが、未だ高止まりしている状態です。

ガソリン代が高騰すると、運送業を営む企業が負担するガソリン代も当然増大します。他社との価格競争に勝たないと仕事を請けられない状況下では、安易に運賃を値上げするのもためらわれるでしょう。

経費が増大するにもかかわらず単価を上げられないとなると、売上利益の減少や経営状態の悪化に繋がりかねません

軽貨物ドライバーのガソリン代は自己負担

軽貨物ドライバーのような個人で配送の仕事を請ける方にとっても、ガソリン代の高騰は頭の痛い話です。

  • 駐車場代
  • 車検代
  • 自動車修理代
  • 車両保険代

正社員やアルバイトとして会社に雇用されているドライバーとは異なり、個人で仕事を請ける軽貨物ドライバーは上記のような経費を自身で負担しなければなりません。

そのため、軽貨物ドライバーにとってガソリン代の高騰は死活問題といっても過言ではありませんが、中には「サーチャージ(原燃料価格の上昇に伴う報酬の上乗せ)」に対応してくれる委託元もあります

このような制度があるかどうかで収益は大きく増減するため、契約前に確認しておくことが望ましいでしょう。

【配送業】ガソリン代の計算方法

ガソリン代は「走行距離÷車両の燃費×ガソリンの値段」という計算式で算出することができます。例えば、ガソリンの値段が1Lあたり150円、走行距離が100km、車両の燃費が15km/Lである場合、ガソリン代は「100km × 15km/L ÷ 150円 = 1,000円」となります。

ガソリンの値段はドライバーがコントロールできるものではありません。そのため、ガソリン代を節約しようと思うと走行距離を節約したり、燃費を良くしたりすることが求められます

軽貨物ドライバーが1ヶ月にかかるガソリン代

  • 1日の走行距離
  • 1Lあたりのガソリンの値段

これらはエリアや時期によって差があり、軽貨物ドライバーによって稼働量も異なるでしょう。そのため、一概には言えませんが、仮にフルタイムで軽貨物ドライバーとして活動する場合、1ヶ月にかかるガソリン代はおよそ20,000〜30,000円ほどです。

致し方のない出費であることは間違いありませんが、その分日頃から節約を心掛けることで大きな経費削減になります。

ガソリン代を節約する7つの方法

配送業でガソリン代を節約する方法として、以下の7つが挙げられます。

Point

・急発進・急停止を避ける
・アイドリングストップを使わない
・タイヤの状態をこまめに点検する
・エンジンオイルをこまめに交換する
・燃料添加剤を使用する
・エアコンの使用を控える
・配送ルートを最適化する

急発進・急加速・急停止を避ける

急発進や急加速、急停止などの「急」がつく運転は、エンジンに大きな負荷をかけるため車両の燃費を悪くする大きな要因だと言われています。アクセルやブレーキはふんわりと少しずつ踏み込み、丁寧な運転を心掛けましょう

単に節約できるだけでなく、安全に業務に取り組むためにも重要なことです。

アイドリングストップを使わない

停車時に自動でエンジンが停止する「アイドリングストップ」。配送業で使用される軽バンの中にも搭載している車種はありますが、燃費を良くしたいのであれば使用しないことをおすすめします。

既にご存知の方も多いかもしれませんが、軽貨物ドライバーのようにストップ・アンド・ゴーを繰り返す場合、アイドリングストップを使用すると逆に燃費が悪くなってしまいます。ハンドルの脇にあるキャンセルボタンでオンオフを切り替えられるので、基本的にはオフにしておくことが望ましいです。

ただし、アイドリングストップはエンジンを起動する度にオンになります。その都度オフにするのが手間に感じる方はアイドリングストップキャンセラーの取り付けを検討してみても良いでしょう。

タイヤの状態をこまめに点検する

タイヤの空気圧が低下すると地面に接する面積が増え、抵抗が大きくなってしまいます。そのため、適正な空気圧を維持して走行する場合に比べて多くのエネルギーが必要となり、燃費が悪くなります。

タイヤの空気圧は自然に抜けていき、1ヶ月で約5~10%減少すると言われています。こまめにタイヤの空気圧をチェックしなければ空気圧の低い状態で運転を続けることになり、燃費はどんどん悪化してしまうでしょう。

最低でも1ヶ月に1回程度はガソリンスタンドやカー用品店などで空気圧をチェックし、適正な数値を保つことをおすすめします。車両の適正な空気圧は運転席のドアを開けたところにシールで添付されていることが多いため、ぜひ一度確認してみてください。

エンジンオイルをこまめに交換する

エンジンオイルが劣化するとエンジンの性能が低下し、効率良くエネルギーを伝達することができなくなります。エンジンオイルは開封して空気に触れた瞬間から劣化が進み、走行時にも負荷がかかり続けるため、こまめに交換することが大切です。

エンジンオイルは約5,000km程度走行するごとに交換するのが適切だと言われています。勤務時間によって異なりますが、軽貨物ドライバーの場合は1ヶ月に約2,000〜5,000km走行することが一般的であるため、1~2ヶ月に一度はオイル交換をすると良いでしょう。

燃料添加剤を使用する

あまり知られていませんが、車は走行距離が伸びるにつれて、燃料タンクの中に汚れが蓄積されていきます。エンジンオイルを定期的に交換していたとしても、蓄積された汚れによってガソリンの燃焼効率が下がり、燃費が悪くなったと感じることがあります

そのような場合は燃料添加剤を使用すると良いでしょう。

効き目や使用頻度は商品によって異なりますが、基本的な使用方法は燃料タンクに適量を入れるのみ。それだけで車が本来の性能を取り戻すことができるので、良ければ一度試してみてください。

エアコンの使用を控える

エアコンをつけるとエンジンが車の走行以外でも稼働することになるため、燃費は低下してしまいます。エアコンを使用せずに配送業務を進めれば燃費を向上させられますが、あくまで無理のない範囲で使用を控えるようにしてください。

完全にエアコンを切ってしまわなくても、窓を開けて車内の温度を下げてからエアコンをつける、適切な温度設定を心掛けるといった対策も十分効果的です

配送ルートを最適化する

配送ルートを最適化するのも、ガソリン代を削減する有効な方法の1つです。渋滞する道を避ける、道が空いている時間帯を見極めるなど、車の稼働時間を短縮できる道順を検討してみてください。

多くの荷物を自分で決めた順番で配送する軽貨物ドライバーの場合、荷物を配送する順番も移動にかかる時間を削減する上で重要なポイントとなります。

同じエリアに届ける荷物は一気に配送する、AIの技術で最適な配送ルートを作成してくれるアプリを利用するなど工夫できると良いでしょう。

【軽貨物ドライバー】ガソリン代を経費計上するポイント

お伝えしたように、軽貨物ドライバーはガソリン代を始めとした経費を自身で負担しなければなりません。ただし、正しく確定申告を行えばいくらか節税できるケースがあります。

経費を正しく計上するためには、収支の内容を適切な勘定科目に分類してわかりやすくまとめることが大切です。ガソリン代を計上できる勘定科目としては、以下の4つが挙げられます。

  • 車両費
  • 旅費交通費
  • 消耗品費
  • 燃料費

どの勘定科目で計上しても発生する支出は変わりませんが、収支をしっかりと管理して経費の削減に活かすため、自分に合った勘定科目で計上すると良いです

自動車に関係する経費をまとめて計上したい場合は車両費として、出張や長距離の移動が多く移動にかかる経費をまとめたい場合は旅費交通費として計上しましょう。

事業用に複数台の車を保有している場合は、燃料費として計上し、保険料や車検代といった車両費と区別するのがおすすめ。ガソリン代の合計を一目で確認することができます。

ガソリン代を節約して利益率を上げよう

ガソリン代の高騰が続く今、ガソリン代を節約することは配送ドライバーにとって大きなテーマとなるでしょう。ガソリン代が自身の収入に直結する軽貨物ドライバーであればなおさらです。

こまめにエンジンを停止させる、タイヤの空気圧を点検するといった取り組みの積み重ねで配送車の燃費を向上させれば、ガソリン代を大幅に削減することが可能です。今回ご紹介したポイントを実践して、ガソリン代の削減を目指してみてはいかがでしょうか。