EC業界の市場規模が年々拡大している昨今、お客様に商品を配送するドライバーの需要はどんどん高まっています。そんな中、正社員やアルバイトとして従事する方の他に、業務委託ドライバーとして個人で仕事を請ける方も増えてきています。

今回のコラムでは、業務委託ドライバーとして働くことのメリット、デメリットを詳しく解説していきます。委託元を選ぶ際に気を付けたいポイントも紹介しますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

業務委託ドライバーを取り巻く現状

Amazonや楽天といったECサイトの普及や高齢化などが影響し、生活必需品や衣類などを実店舗ではなくインターネットで購入する方が増えています。EC業界の市場規模は拡大傾向にあり、軽貨物を配送する業務委託ドライバーの需要も高まっています。

運送業界全体で見ても、ドライバーの高齢化や過酷な労働環境により人材不足が深刻化。運ばなければならない荷物の数が増え続ける中で、ドライバーが足りない状態が慢性化する可能性が高いです。

こうした背景から、業務委託ドライバーの活躍の場は今後さらに広がっていくと考えられます。

業務委託ドライバーの仕事の流れとは

個人事業主として配送業務を請け負う業務委託ドライバーは、軽貨物車両を使って比較的小さな荷物を配送することが一般的です。

具体的な仕事内容は以下の通り。

  1. 指定された事業所へ出向き荷物を積み込む
  2. 顧客へ荷物を配送する
  3. 事業所に戻り退勤する

なお、委託元によっては、配送が終了した後に事業所に戻らず直帰することを認めているケースもあります。

業務委託ドライバーのメリット

業務委託ドライバーのメリットとして、以下の5点が挙げられます。

  • 経験や学歴を問わず始められる
  • コミュニケーションが苦手でも働きやすい
  • 自由な働き方を選択できる
  • スキルを身に付ければ収入アップを狙いやすい

経験や学歴を問わず始められる

業務委託ドライバーの大きな特徴として、普通免許さえあれば年齢や国籍、学歴、年齢などに関係なく誰でも活躍できる点が挙げられます。未経験でも始めやすいことは大きなメリットの1つだと言えるでしょう。

ただし、委託元によってはAT車のみの普通免許は不可とされる場合もあるため、事前に求人の内容を確認しておきましょう。

コミュニケーションが苦手でも働きやすい

業務委託ドライバーが仕事中に人と接する機会は、事業所で荷物を積み込む、お客様に荷物を受け渡すなど、短時間の限られたタイミングのみです。運転や荷物の積み下ろしを1人で黙々とこなす時間が業務のほとんどを占めています

正社員やアルバイトとして企業に雇用される場合と異なり、個人で仕事を請ける業務委託ドライバーには上司と部下の関係性が発生しません。人間関係のしがらみがほとんどなく、他人の顔色を伺いながら仕事をするのが苦手な方に向いていると言えるでしょう。

自由な働き方を選択できる

個人で活動する業務委託ドライバーは、仕事を請ける量を自分で調整できます。そのため、以下のように裁量を持って働き方を選択することが可能です。

  • フルタイムでしっかり稼ぎたい
  • 仕事や子育ての隙間時間に働きたい

単発案件を請けてくれるドライバーを積極的に募集している、あるいは短期間の稼働を希望するドライバーを歓迎している委託元も少なくありません。

ライフスタイルに応じて臨機応変に働き方を決めることができるため、業務委託ドライバーは副業としても人気が高い職種の1つです。

スキルを身に付ければ収入アップを狙いやすい

正社員やアルバイトの配送ドライバーに多い固定給制の下で働く場合、安定した収入が保証される一方で、より多くの荷物を配送しても収入は変わりません。昇給の機会も限られていることが一般的であり、短期間で収入を大幅にアップさせるのは難しいです。

一方、業務委託ドライバーを募集する委託元は歩合給制を採用していることも多いです。

歩合給制では荷物を配送した個数に応じて収入が決まります。そのため、配送業務をよりスピーディーに進めるコツを身に付ければ、同じ時間でより多くの荷物を配送できるようになり、収入アップを狙うことが可能です。

業務委託ドライバーのデメリット

上記のようなメリットがある業務委託ドライバーですが、以下のようなデメリットがある点に留意しなければなりません。

  • 仕事に慣れるまではきついと感じることもある
  • 経費は自分で負担する
  • 仕事量は委託先によって変わる

仕事に慣れるまではきついと感じることもある

基本的に、業務委託ドライバーは重量のある荷物を積み下ろしたり、数日に渡って運転したりといった業務を担うことはありません。とはいえ、慣れないうちは運転する、荷物を積み下ろすという作業を1人で黙々と繰り返すことがきついと感じられるかもしれません

時間指定がある荷物が多いケースでは、配送に手間取っていると時間内に配送できなくなってしまうため、焦りやプレッシャーを感じながらの仕事を余儀なくされます。

また、配送スピードが上がれば収入アップを狙えるというメリットがありますが、裏を返せば配送が遅いと収入が上がらないということになります。業務委託ドライバーを始めたばかりの方は特に、配送スピードが上がらず思うように稼げない可能性が高いです。

経費は自分で負担する

配送ドライバーとして働く際には、主に以下のような経費が必要になります。

  • ガソリン代
  • 車両の維持費
  • 駐車場代
  • 保険料

正社員として働く場合は上記のような経費は会社が負担してくれますが、業務委託ドライバーは個人事業主として働くため、経費を自分で支払わなければなりません。年金や健康保険といった社会保険も全額自己負担となります。

業務委託ドライバーとして稼働し始めたばかりで思うように給料を上げられない方は特に、経費負担が大きなネックに感じられるかもしれません。

  • 業務委託ドライバーを本業としており年間所得が48万円以上
  • 業務委託ドライバーを副業としており副業の年間所得の合計が20万円以上

上記のケースでは、確定申告も自分で行う必要があります。確定申告を怠るとペナルティとして追加の課税が発生するため、日頃から収支を管理しておかなければなりません。正しく確定申告をすることは節税に繋がるため、確実に実施しましょう。

仕事量は委託先によって変わる

お伝えしているように、配送ドライバーの需要は近年どんどん高まってきています。ドライバーにとっては売り手市場と言える状況ですが、だからといって、業務委託ドライバーとして活動すれば仕事に困らないというわけではありません。

委託元によっては抱えている案件が少なく、ドライバーに十分な量の仕事を割り振れないところもあります。年末年始が過ぎた1~2月のような閑散期は特に、稼働したい時間に仕事を請けられないというケースも考えられます。

希望する仕事量を確保するため、複数の委託元と契約しておくと良いでしょう。

業務委託ドライバーになるには

業務委託ドライバーになるためには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 軽貨物車両を用意する
  2. 貨物軽自動車運送事業の開業を届け出る
  3. 黒ナンバーを取得する
  4. 保険に加入する
  5. 個人事業主として開業を届け出る
  6. 依頼元と契約する
  7. 仕事を請け負う

個人事業主として、そして配送ドライバーとして稼働する上でどれも必須の手続きですので、漏れなく正確に実施しましょう。

業務委託ドライバーの委託元の選び方

業務委託ドライバーとして稼働し始める方に注意してほしいのが、契約する事業所の選び方です。先述したような人手不足の現状もあり、業務委託ドライバーを募集している事業所は増えています。

しかし、応募する委託元をなんとなく選んでしまうのはおすすめできません。面接の場ですぐに契約するよう圧力をかけられたり、以下のようにドライバーに不利な条件で契約を結ばれたりする可能性があります。

  • 案件量が少なく十分な仕事を割り振ってもらえない
  • 不当に高額な罰金を強いる
  • 長時間労働や無理な量の配送を強いる

事前に求人の内容を念入りに確認したり、条件に納得した上で契約を結んだり、自分を守るための行動を取ることが大切です。

自由な働き方で業務委託ドライバーとして活躍しよう

普通免許があれば経験や学歴を問わず始められるハードルの低さや、自由な働き方を選択できることから、業務委託ドライバーは性別や年齢問わず幅広い層から人気が高いです。

始めたばかりの頃は思うように収入を確保できず、きついと感じてしまうかもしれません。しかし、配送業務や仕事を請けるコツさえ掴めば、効率良く稼ぐことも十分可能です。

自身のライフスタイルに合った働き方を選択し、業務委託ドライバーとして活躍してみてはいかがでしょうか。