軽貨物ドライバーが担当する案件の多くでは、「配送単価×荷物を運んだ個数」によって報酬が決まる成果報酬制が採用されています。そのため、効率良く稼ぐためには配送単価の高い案件を見極めて請けていくことが欠かせません。

中には配送単価が相場の1.5倍以上という割の良い案件もあると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

今回のコラムでは、軽貨物運送業における配送単価の相場や単価の高い案件の特徴について詳しく解説していきます。効率良く稼げる案件を見極めるために確認すべきポイントも紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

軽貨物運送業における配送単価とは

そもそも軽貨物運送業における配送単価とは、荷物1個あたりの配送料金のことです。荷物のサイズや重量、配送する地域や移動距離、業界全体のニーズや競争状況などによって変動しますが、相場は約150~200円だと言われています。

軽貨物ドライバーにとって、配送単価は報酬額に直結する重要な要素の1つです。市場の動向によって変動する配送単価の最新の相場は、常に把握しておけると良いでしょう。

軽貨物運送業の報酬の仕組み

軽貨物運送業の案件では、決められた時間内に配送した荷物の個数に応じて報酬が決定される成果報酬制が採用されることが一般的です

また、個人事業主として活動する軽貨物ドライバーの場合は、アルバイトや正社員として雇用されるドライバーとは異なり、以下のような経費を自身で負担しなければなりません。

  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • 自動車保険料
  • 車両のメンテナンス費用
  • 業務用スマートフォン・GPSなどの利用料

従って、軽貨物ドライバーの手元に残る金額は「配送単価×配送した荷物の個数-諸経費」で算出することができます。

軽貨物ドライバーが効率良く稼ぐコツ

軽貨物ドライバーが効率良く稼ぐためには、以下4つのポイントを押さえておくべきです。

  • 高単価の案件を請ける
  • 業務を効率化させる
  • 経費を削減する
  • 安全運転・体調管理を徹底する

「配送単価×配送した荷物の個数-諸経費」の計算式を踏まえると、高単価の案件を積極的に請けて配送単価を上げることや、業務を効率化させて配送スピードを上げ、同じ時間に運べる荷物の個数を増やすことが効果的だと言えます。

経費負担を削減するのも有効です。燃費の良い運転を心掛けてガソリン代を節約する、備品の購入を最低限に抑えるといった工夫で支出を減らすことをおすすめします。

事故や怪我、病気などに見舞われずスムーズに業務を遂行するため、安全運転や体調管理を徹底することも忘れてはいけません。

配送単価270円!?高単価案件は本当にある?

軽貨物運送業における配送単価の相場は約150〜200円とお伝えしましたが、中には270円というような、相場を大きく上回る高単価の案件も存在します。ただし、もちろんただ単価が高いだけ、というわけではありません。

高単価の案件には深夜や早朝の配送、危険物の配送といった特殊な条件、あるいは厳格な時間指定や特別なサービスなどが伴う場合がほとんどです

きめ細やかなサービスや高い配送スキルが求められ、ある程度経験を積んだドライバーでなければ遂行できないものも少なくありません。

高単価案件の具体的な特徴については、この後詳しく解説していきます。

【軽貨物運送業】単価が高い案件の特徴とは

配送単価が高くなる傾向にある軽貨物運送業の案件として、主に以下の3つが挙げられます。

  • スポット便
  • 企業配
  • 長距離の配送

スポット便

スポット便とは緊急で不定期に依頼され、荷主の希望に合わせて指定された時間や配達先に荷物を運ぶ案件のことです。時間厳守の案件や中長距離の配送となるケースが多く、他の案件に比べて単価が高めに設定される傾向にあります。

スポット便については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。気になる方はぜひ合わせてチェックしてみてください。

企業配

個人の自宅ではなく企業への配送を行うのが企業配です。1日当たりの報酬が決められていることが一般的であり、配送した荷物の個数に応じて報酬が決定されるわけではありません。

企業配の1日あたりの報酬はおよそ15,000~18,000円だと言われています。配送単価で比較することはできませんが、フルタイムで稼働する軽貨物ドライバーの1日あたりの報酬の相場が10,000~15,000円であることを考えると割の良い案件だと言えるでしょう。

企業配についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

長距離の配送

長距離の配送というと大型トラックで荷物を運ぶイメージが強い方が多いかもしれませんが、軽貨物ドライバーが請けられる長距離の案件も存在します。

長距離の案件は緊急性を要するものや時間厳守が求められるものが多く、数日かかる距離を運転しなければならないケースもあることから、配送単価は高くなりやすいです。

移動距離が長くなるにつれて配送単価が上がっていくことが多く、中には1回の配送で数万円の報酬がもらえる案件もあるようです。

本当に稼げる案件を見極めるポイント

ここまで配送単価の高い案件について詳しく解説してきましたが、配送単価が高いからといって、必ずしも稼げる案件であるとは限らないという点には注意が必要です。

本章では、本当に稼げる案件を見極めるために、配送単価以外に確認しておきたいポイントをお伝えしていきます。

  • 配送できる荷物の個数
  • ロイヤリティ
  • 違約金

配送できる荷物の個数

請ける案件を検討する際には、配送単価とともに運べる荷物の個数の目安を把握しておくことをおすすめします。配送単価と同様、配送する荷物の個数も軽貨物ドライバーの報酬を決定する重要な要素であるためです。

配送単価が高くても、業務内容によっては思ったより配送できる荷物の個数が少なく、なかなか稼げないケースも考えられます。具体的には、案件をあまり割り振ってもらえない、荷物のサイズが大きく1個あたりの配送に時間がかかる、といった可能性が想定されます。

ロイヤリティ

運送会社と業務委託契約を結んで稼働する場合、ドライバーは運送会社に対してロイヤリティ、つまり業務委託手数料を支払う必要があります。

ロイヤリティの相場は売上の約10~15%だと言われていますが、中には相場を大幅に上回る金額を設定する運送会社もあるため要注意です。

高単価を謳っている魅力的な求人であっても、割高なロイヤリティが設定されていてドライバーが実質的に受け取れる金額はかなり少ない、なんてことも珍しくありません。

違約金

軽貨物ドライバーと契約を結ぶ運送会社の中には、以下のようなケースでドライバーに対して違約金を請求するところもあります。

  • 契約期間中に途中で辞める
  • 稼働中に荷物を破損させてしまう
  • 遅延や配送ミスを発生させてしまう
  • 退職することで委託元の人員不足が悪化してしまう

違約金に関する情報を契約書の目立たない位置に記載する悪質な運送会社も多く、契約書の確認を怠ったドライバーが高額の支払いを請求されるケースも散見されます。

たとえ高単価の案件であっても、辞めたいのに違約金を支払えず辞められない、防ぎようのない事故や遅延に対して高額な違約金を請求されるといった事態は避けたいものです。

一度委託元と契約を結んでしまうと、ドライバーは契約書に記載された内容に全て同意したとみなされてしまいます。トラブルを避け、苦労して稼いだ報酬や自分自身を守るためにも契約書は隅々まで熟読し、納得した上で契約するようにしてください

効率良く稼げる高単価の案件を見極めよう

軽貨物ドライバーが効率良く稼ぐためには、配送単価の高い案件を積極的に請けることが重要となります。ただし、高単価を謳っている案件であっても、実際には手元に残る金額が思ったより少ないというケースもある点には留意しておきましょう。

今回お伝えしたポイントを念入りに確認し、本当に稼げる案件かどうかを見極めてみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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