軽貨物ドライバーが請ける案件は、大きく宅配と企業配に分けられます。個人宅へ荷物を届ける宅配とは異なり、一般企業向けの荷物を担当し、会社や工場、病院などへ配送するのが企業配の役割です。

企業配の案件では、宅配のように再配達に悩まされることはない一方、大量のコピー用紙、大きな家具など重量のある荷物を配送しなければならない機会も少なくありません。そのため、「企業配はきつい」という声も多く上がっているようです。

そこで今回のコラムでは、企業配のメリットやデメリットについて詳しく紹介していきます。企業配がきついと言われる要因もお伝えしますので、ぜひチェックしてみてください。

【軽貨物】企業配とは

冒頭でお伝えしたように、企業配は一般企業へ荷物を配達します。倉庫に出向いて荷物を配送車に積み込み、指定された場所へ届けるという仕事の流れは宅配と大きく変わりませんが、企業配ならではの特徴もいくつか存在します。

コピー用紙や筆記用具のような事務用品や医薬品、資材などの荷物を取り扱う点に加え、配送ルートがある程度決まっていることも宅配にはない特徴だと言えるでしょう。

また、企業配の案件を担当する軽貨物ドライバーの方にぜひ把握しておいてほしいのが、宅配以上に丁寧な仕事や清潔な身だしなみが求められるということです。

同じ企業に定期的に荷物を配達するケースが多い企業配は、何度も出向くうちに配送先の方に認識されやすい傾向にあります。

身だしなみや仕事ぶりを通して好印象を与えられれば、「またこのドライバ―に依頼したい」と思ってもらえるでしょう。個人事業主として稼働する軽貨物ドライバーであれば、他の案件を紹介してもらうといったことも期待できるかもしれません。

企業配と宅配の違い

ここからは、企業配と宅配の違いを以下3つの観点からもう少し詳しく解説していきます。

  • 報酬体系
  • 勤務時間
  • 配送エリア

報酬体系

宅配の案件では、配送した荷物の個数に応じて報酬が決まる成果報酬制が採用されていることが一般的です。

企業配の場合は、配送した荷物の量に関わらず1日単位で定額の報酬が支払われるケースがほとんど。フルタイムで稼働する場合、1日あたりの報酬はおよそ15,000円~18,000円と言われており、月に20日稼働した場合の月収は約30~36万が目安となります。

勤務時間

個人宅へ荷物を届ける案件の場合は、幅広い時間指定を採用している運送会社が多いこともあり、ドライバーが夜間に稼働する機会も少なくありません。

一方、企業配が荷物を配送するのは企業が営業している曜日や時間帯に限られます。そのため、一般的な企業の営業時間である平日の9~18時頃が主な勤務時間となることが多いです。

配送エリア

案件によって異なりますが、企業配の案件では1人のドライバ―が受け持つエリアが広く設定される傾向にあります。というのも、荷物の配送先となる会社や工場は、都市部の個人宅とは違って限られたエリアに密集しているわけではないためです。

配送先同士の距離が遠くなりがちであるため、担当するエリアによっては思った以上にガソリン代がかさんでしまうケースも多いです。

軽貨物ドライバーが企業配の案件を請けるメリット

企業配の案件を請けることには、軽貨物ドライバーにとって以下のようなメリットがあると言えます。

  • 平日の日中を中心に稼働できる
  • 収入が安定しやすい
  • コミュニケーション力を生かせる
  • 再配達がない

平日の日中を中心に稼働できる

お伝えしているように、企業配は配送先となる企業の営業時間内、つまり主に平日の日中に稼働することがほとんどです。従って、子育てと軽貨物ドライバーとしての業務を両立させたい方に適していると言えます。

スケジュールにある程度の余裕を持って稼働できるため、業務時間外に趣味や家族との団らんを楽しむ、単発の案件を追加で請け負って収入アップを目指すといったことも可能です。

収入が安定しやすい

1日単位で決まった報酬を受け取る企業配の案件は、運んだ荷物の個数に応じて報酬が決まる成果報酬型の案件に比べて収入が安定しやすい傾向にあります。業務に慣れておらず、多くの荷物をスピーディーに配送できない初心者ドライバ―に向いていると言えるでしょう。

一方、十分な経験を積んだスキルの高いドライバ―にとっては、企業配の案件は物足りなく感じてしまうかもしれません。より多くの荷物を素早く配送して高収入を狙いたいと考える方は、成果報酬型が採用されることの多い宅配の方が適していると言えます。

再配達がない

再配達がないことは、企業配の最大のメリットではないでしょうか。

宅配の業務を請け負っていると、再配達によって大幅なタイムロスが発生することもしばしば。配送する荷物の個数が多ければ多いほど収入がアップする成果報酬型の案件を担当している軽貨物ドライバーにとっては特に、再配達は大きなストレス要因の1つです。

企業の営業時間内に配達先へ出向く企業配の場合、会社や工場などに誰もいないということは稀であり、再配達が発生することはほとんどありません。時間指定に追われることもあまり無いため業務を進行しやすく、体力的にも精神的にも負担が少ないと言えます。

企業配の案件を請けるデメリットとは

上記のようなメリットがある企業配ですが、以下のようなデメリットがある点に留意しておかなければなりません。

  • 荷物の中身や配送先によっては重労働になる
  • 企業の事情に左右されやすい
  • ガソリン代がかさむ場合もある

荷物の中身や配送先によっては重労働になる

再配達がなく業務をスムーズにこなしやすいと言われる企業配の案件ですが、重労働が必要となる場合もあるようです。

例えば、コピー用紙やオフィス家具といった数十kgの荷物を階段で上の階まで運ばなければならないといったケースも考えられます。

大きくかさばる荷物が多く、配送車に一度に載せられる荷物の個数が限られてしまうことも、企業配の案件を請ける軽貨物ドライバーにとって悩みの種となり得ます。中には、荷物を積み込む倉庫と配送先を何往復もしなければならない案件もあるため、きついと感じる方もいるでしょう。

企業の事情に左右されやすい

荷物を受け取る企業側の事情によってドライバ―の負担が大きくなることもあります。具体的には、以下のようなケースが考えられます。

  • 駐車場と荷物を受け取ってもらう場所が離れている
  • 伝票のサインをもらう部署と荷物を運ぶ部署が異なっている
  • 駅前や繁華街の中心部へ荷物を運ばなければならず通行許可証が必要になる

こうした事情は担当する案件によって変わってくるため、実際に稼働してみなければわからないことが多いです。

ガソリン代がかさむ場合もある

先程お伝えしたように、企業配の案件で配送する荷物の中には大きくかさばるものも少なくありません。荷物が荷室に多く積み込めない、上に重ねられないといったこともあるため、荷物を積み込む倉庫と配送先との往復回数はどうしても多くなってしまいます

また、狭いエリアに多くの配送先が密集している都市部での宅配とは異なり、企業配は配達先同士の距離がかなり離れていることが一般的です。そのため、宅配に比べて移動距離が長くなる傾向にあります。

こうした背景から、企業配の案件ではガソリン代がかさんでしまいがち。フルタイムで稼働するドライバ―の中には、月5万円以上もガソリン代を負担しなくてはならない方もいるようです。

軽貨物ドライバーが企業配の案件を探す方法

軽貨物ドライバーが企業配の案件を探す際の方法として、主に以下の2つが挙げられます。

  • 求人サイトから応募する
  • 企業と直接契約を結ぶ

企業配の案件に初めて挑戦する方にとっては、求人サイトを経由するのが一般的な探し方だと言えるでしょう。求人情報に「企業配」と明記している案件を見つけて、応募してみてください。

配送先の企業と直接契約するのも1つの手です。ただ、個人のドライバ―が企業からの信用を得て契約を結ぶのはかなりハードルが高いと言えます。まずは求人サイト経由で経験を積んで業界内での信頼を掴み、その上で契約先を探すことをおすすめします。

企業配の案件に挑戦してみよう

企業配は収入が安定しやすい一方で、案件によっては長距離の移動や重い荷物の運搬を余儀なくされるケースも少なくありません。自身のライフスタイルや目指す収入を踏まえ、企業配の案件に向いているかどうかを十分に吟味した上で案件を請けられると良いです。

宅配にはないメリットも多い企業配。子育てとドライバ―業を両立させたい、安定した収入を手に入れたいといった方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。