特別な資格やスキルがなくても始められる、裁量を持って勤務スケジュールを組めるといった点から、性別や年齢を問わず高い人気がある業務委託ドライバー。本業の傍ら副業として始める方も増えてきています。

今回のコラムでは、業務委託ドライバーを副業として始めることを検討している方に向けて、その実態やメリット、デメリットを詳しく解説していきます。始める際の手順や実際どれくらい稼げるのかもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

業務委託ドライバーが副業に向いている理由

委託元から仕事を請ける業務委託ドライバーは、仕事量や勤務スケジュールを自分の裁量で調節することができます。本業の合間を縫って勤務するといった柔軟な対応が可能であり、本業との両立がしやすいと言えます。

副業として始める方が多い職業の中には、以下のように一定レベルの専門的なスキルを取得しないとなかなか利益を得られないものも多いです。

  • Webライター
  • Webデザイナー
  • 動画編集
  • 翻訳
  • プログラミング
  • ネイリスト

業務委託ドライバーは普通免許さえ取得していればすぐにでも始められ、特別なスキルを有していなくても活躍できます。

届けた荷物の個数に応じた歩合給制で契約を結ぶ場合、コツを掴んで業務のスピードを上げられれば、時間内に運べる荷物の個数を増やして収入アップを狙うことも可能です。

本業と両立しながら効率良く稼げることから、業務委託ドライバーは副業に向いている仕事だと言えます。

副業の業務委託ドライバーって実際儲かるの?

正社員の軽貨物ドライバーの給与形態は、毎月決まった金額を受け取る固定給制が主流です。一方、業務委託ドライバーの場合は、配送した荷物の個数に応じて収入が決まる歩合給制も採用されることが多い傾向にあります。

業務委託ドライバーが丸1日稼働した場合の収入は、約10,000~14,000円だと言われています。ただし、上記はあくまで目安であり、副業として従事する場合は稼働時間が変動することが多いため、実際の収入は変わってくるでしょう。

加えて、業務委託ドライバーの収入は以下のような条件によっても異なります。

  • 配達エリア・時期
  • ドライバーの配送スキル
  • 給与形態

配達先が密集している都市部の方が多くの荷物を短時間で運びやすい、閑散期は請けられる仕事量が減るなど、配送エリアや時期によって配送個数は変動します。ドライバーの配送スキルが高ければ、同じ時間でも届けられる荷物の個数が増えるでしょう。

業務委託ドライバーに仕事を依頼する業者は完全歩合給制を採用しているところもあれば、一定の固定給に歩合給制の報酬を上乗せしているところもあります。従って、荷物の配送個数によって収入は大きく変動すると言えます。

従って、副業の業務委託ドライバーが儲かるかどうかは、個人のスキルや条件次第だと言えます。しかし、決まった時間により多くの荷物を運べるよう業務スピードを上げたり配送エリアや時間帯などを工夫すれば、効率良く稼ぐことも十分可能です。

副業で業務委託ドライバーをするメリット

副業で業務委託ドライバーを始めるメリットとして、主に以下の2点が挙げられます。

  • 未経験でも始めやすい
  • 隙間時間に稼げる

未経験でも始めやすい

先述したように、副業として選ばれることが多い職種の中には、特別な資格や一定レベルのスキルを身に付けることが必須となるものも少なくありません。

本業の合間を縫って副業をする以上、「副業をするために勉強する時間」が必要になるのは避けたいと考える方も多いのではないでしょうか。

業務委託ドライバーは多くの求人が学歴や経験を問わず人材を募集しており、普通免許さえあればすぐにでも働き始めることができます。「始めやすさ」は副業として業務委託ドライバーに従事する上で最大のメリットだと言えます。

隙間時間に稼げる

業務委託ドライバーを募集している求人を見ると、「最低〇日以上」といった勤務日数の縛りを設けていないものが目立ちます。自身のライフスタイルに合わせて以下のような様々な働き方を選択できるため、本業の合間を縫って働きたい方にぴったりです。

  • 本業が休みの土日だけ稼働する
  • 隙間時間に単発のスポット配送を請ける
  • 遠方への荷物を多く配送してがっつり稼ぐ
  • 自宅から近いエリアの荷物だけ配送して手早く稼ぐ

勤務スケジュールを自由に決められることから、業務委託ドライバーはアルバイトに励む学生や子育て中の主婦、定年退職後のシニア層など幅広い層からも高い人気を得ています。

副業で業務委託ドライバーをするデメリット

高い自由度を持って働ける業務委託ドライバーですが、副業として始めると以下のようなデメリットがある点に留意しておくべきです。

  • 年収が20万円を超えると確定申告が必要になる
  • 経費計上の手続きが大変である
  • 安定した収入が期待できないこともある

年収が20万円を超えると確定申告が必要になる

業務委託ドライバーに限らず、本業以外の所得の総額が20万円を超える場合は確定申告をしなければなりません。帳簿を作成する、確定申告書を提出するといった手続きが必要となる点は、副業として業務委託ドライバーに従事するデメリットの1つです。

なお、20万円以上の副業収入について確定申告を怠ると、本来納めるべき所得税に加えて無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される恐れがあります。故意に脱税したとみなされると、懲役刑が科されてしまうことも。

帳簿を付けて所得を正しく把握するだけでなく、業務委託ドライバー以外にも副業をしている方は、それぞれの所得を合算する必要があることも頭に入れておきましょう。

経費計上の手続きが大変である

副業での年収が20万円を超える見込みがある方は、確定申告に備えて隙間時間のちょっとした稼働であっても都度帳簿を付けて経費計上する必要があります。

ドライバー業務で発生する経費は以下のように多岐に渡り、レシートや領収書を保管して経費をいちいち記録することを手間に感じる方もいるかもしれません。

  • 車両費
  • 車両維持費(タイヤ・オイル交換など)
  • 駐車場代
  • ガソリン代
  • 車検費
  • 車の保険料

経費計上するのは面倒に思えますが、抜け漏れなく正しく行うことで所得から差し引ける金額が増え、節税効果をアップさせることができます。得られる利益を少しでも増やすためにも、忘れずに実施しましょう。

安定した収入が期待できないこともある

EC市場の拡大に伴って、軽貨物ドライバーの需要は急激に拡大しています。しかし、委託元によっては閑散期に十分な依頼数を確保できないことも多く、毎月安定した量の依頼をドライバーに割り振れない場合もあります。

副業として業務委託ドライバーに従事する方の場合、自身が稼働できる日程と委託元からの依頼が集中するタイミングが一致するとは限りません。そのため、希望通りの量の仕事を請けられないケースも。

業務委託ドライバーは配送個数が増えれば増えるほど稼げる仕事ではありますが、毎月の安定した収入はあまり期待できないと考える方が良いかもしれません。

業務委託ドライバーの配送車は購入するべき?

副業として業務委託ドライバーを始める際に考えなければならないのが、配送車の用意です。既に軽貨物自動車を持っている方であれば問題ありませんが、新たに用意しなければならない方にとっては悩みどころではないでしょうか。

軽貨物自動車を購入しようと思うとそれなりの初期費用や維持費が発生しますが、長期的な勤務を検討している方であれば、長い目で見ると軽貨物自動車を新たに購入して自分用として所有する方がお得になる可能性が高いです。

ただ、業務委託ドライバーを募集している求人の中には、配送車両の日割レンタルを実施している、あるいは無料で貸し出しているところもあります。隙間時間に少しずつ稼働したい方は、そういった求人を選んで働き始めることをおすすめします。

副業で業務委託ドライバーを始める手順

ここからは、副業で業務委託ドライバーを始める手順を解説していきます。

  • 黒ナンバーを取得する
  • 依頼主と契約する

黒ナンバーを取得する

業務委託ドライバーとして活動する際には、軽貨物の配送に使用する車両に取り付ける黒ナンバーの取得が必須となります。自身が所有する車両が黒ナンバーを持っていない場合は、事前に以下の流れで取得しなければなりません。

  1. 運輸支局に必要書類を提出する
  2. 運輸支局から事業用自動車等連絡書を発行してもらう
  3. 軽自動車検査協会に事業用自動車等連絡書を提出する

なお、各都道府県の運輸支局に提出する書類は以下の通りです。

  • 貨物軽自動車運送事業経営届出書
  • 運賃料金設定届出書
  • 運賃料金表
  • 事業用自動車等連絡書

運輸支局と軽自動車検査協会は同一敷地内にあることも多いため、先述した手続きをまとめて実施することもできます。

依頼主と契約する

黒ナンバーを取得したら、いよいよ依頼主と契約して業務をスタートさせます。仕事を請ける主な方法としては、配送マッチングアプリへの登録と求人サイトからの応募の2つが挙げられます。

昨今広まっている配送マッチングアプリは、エリアや時間帯などの条件を入力すれば最適な案件を探して請けられる点が特徴です。しかし、条件の良い案件だとすぐにドライバーが見つかってしまったり、実績の高いドライバーに依頼されたりしてしまうことが多いです。

副業で業務委託ドライバーを始めて効率良く稼ごう

自分のペースで稼げる点や未経験でも気軽に始められる点が魅力の業務委託ドライバーは、副業としてもおすすめの職種です。経費に関する手続きを正しく実施すれば、効率良く利益を得られるでしょう。

なお、企業によっては副業を禁止しているところも少なくありません。無許可で副業を行っていることが勤務先にばれてしまうと、何かしらの処分が発生することもあります。

副業で業務委託ドライバーを目指す際には、本業の勤務先で就業規則を必ず確認するようにしてください。