荷物が濡れてしまう、交通事故が発生しやすくなるなど、雨の日の配送業務にはいつも以上に多くのリスクが存在します。しかし、軽貨物ドライバーはたとえ雨が降っていても業務を滞りなく進め、きれいな状態で荷物をお客様の元に届けなければなりません。
今回のコラムでは、軽貨物ドライバーにぜひ知っておいてほしい、雨の日の業務を円滑に進めるための対策について解説します。用意しておくと良いおすすめの雨具も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
雨の日の配送・配達で起こり得るトラブル
雨の日の配送業務において起こり得るトラブルとして、以下の4つが挙げられます。
- 交通渋滞により配送が遅れる
- 荷物や伝票が濡れる
- 交通事故に遭う
- 荷物を運ぶ際に転倒する
交通渋滞により配送が遅れる
雨の日は晴れの日に比べて視界が悪く、路面が滑りやすいです。スピードを抑えて運転することが求められるため、交通渋滞が発生しやすい傾向にあります。徒歩や自転車の代わりにバスやタクシー、自家用車を移動手段として利用する方が増える都市部ではなおさらです。
時間指定がある荷物を担当する機会が多い軽貨物ドライバーには、配送の遅延に繋がる交通渋滞をできる限り回避することが求められます。交通渋滞に巻き込まれるリスクが高くなる雨の日は、指定された時間通りに荷物を届けられないケースが起こりやすくなります。
荷物や伝票が濡れる
雨で荷物が濡れると段ボールが破れやすくなり、荷物が破損してしまう可能性が考えられます。伝票が濡れると文字がにじんで配送先の情報がわからなくなる、荷物から伝票がはがれにくくなるなど、業務に支障が出てしまうこともあるでしょう。
ここ数年で当たり前になりつつある置き配に関しても、雨の日には以下のような事例が増えているようです。
- 雨で濡れた床に荷物を置き配され、段ボールの底が濡れていた
- 屋根のない場所に置き配をされた後に雨が降り出し、荷物がずぶ濡れになった
大手の宅配業者の中には、こうしたトラブルを避けるため雨の日には置き配をしないところもあるようです。ただ、個人で活動する軽貨物ドライバ―は「荷物を濡らさない」よう自身で注意を払わなければなりません。
雨の日に配送を行う際に実施すべき具体的な対策については、本記事の後半で詳しく解説します。
交通事故に遭う
- 制動距離(ブレーキをかけてから完全に停止するまでの距離)の伸長
- 視界不良
- 急ブレーキによるスリップ
- ハイドロプレーニング現象(タイヤと路面の間に水の膜ができ、ハンドルやブレーキなどが制御不能となること)
雨の日は、上記のような事象が起こりやすくなることもあり、交通事故のリスクが非常に高く、交通事故の発生率は晴天時の約5倍と言われています。
歩行者や自転車との事故もいつも以上に起こりやすくなります。傘をさしている歩行者やカッパを着て自転車に乗っている方は視野が狭くなっており、危険に気づくのが遅れるケースが多いためです。
荷物を運ぶ際に転倒する
運転中だけでなく、荷物を運ぶ際にもリスクは潜んでいます。滑りやすい道で転倒するとケガをする、荷物を落として濡らしたり傷つけたりしてしまうといった事態に繋がります。
台車を使って荷物を運ぶ際には、台車から荷物を落として濡らしてしまう、タイヤではね上げた水しぶきが荷物にかかるといったリスクを防ぐための配慮が欠かせません。
軽貨物ドライバーの雨の日対策
ここからは、軽貨物ドライバーにぜひ実施してほしい雨の日対策を解説していきます。
Point
・走行前の車両点検を入念に行う
・段ボールやタオル・ビニール袋で荷物を守る
・段差や滑りやすい地面に注意する
・時間に余裕を持って行動する
走行前の車両点検を入念に行う
軽貨物ドライバーにとって不可欠な出発前の車両点検。雨の日はより入念に実施するべきです。配送車を点検する際に確認するべき項目として、以下が挙げられます。
- タイヤの状態・空気圧
- ブレーキの反応
- 燃料の残量
- オイルレベル・冷却水の量
- 車内外の清掃状態
ドライバ―の視野を確保する上で欠かせないワイパーやフォグランプ、スリップを防ぐタイヤの溝の深さなどは、特に慎重に確認することをおすすめします。
段ボールやタオル・ビニール袋で荷物を守る
先述した通り、配送した荷物が濡れるとお客様からのクレームに繋がりかねないだけでなく、ドライバ―としての信頼が損なわれてしまう可能性もあります。荷物を濡らさないよう、雨の日に荷物を配送する際には以下のように保護することが欠かせません。
- 台車に段ボール・タオルを敷いてその上に荷物をのせる
- 荷物にビニール袋・エコバッグをかける
- 配送車の荷台にビニールシートを敷く
配送中に突然雨が降ってくる場合に備え、天候に関わらず防水グッズを常に配送車に置いておくと安心です。
段差や滑りやすい地面に注意する
軽貨物ドライバーが最も荷物を濡らしてしまいやすいタイミングとして、荷物の運搬が挙げられます。荷物を雨にさらさないよう小さな荷物は胸に抱えて運ぶ、転倒しないよう走らないといった対策を講じると良いです。
荷物を台車にのせて運ぶ場合は、段差で荷物を落としたり、水たまりで荷物に水しぶきがかかったりするのを防がなければなりません。台車をゆっくりと動かすよう心がけましょう。
時間に余裕を持って行動する
雨の日の配送では、渋滞に巻き込まれて移動が遅れたり、荷物が濡れないよう積み下ろすのに時間がかかったりと時間に追われ、どうしても気持ちが焦ってしまいがちです。
- 配送先を間違える
- 不在票に荷物番号やドライバ―の携帯番号を誤って記載する
- 荷物を落として濡らす・破損させる
慌てて業務をこなそうとすると、上記のようなミスをするリスクが高くなります。急いでミスをしてしまうと、対応に追われて焦りがさらに強くなり、悪循環に陥ってしまうでしょう。
そのため、普段よりも時間に余裕を持って行動することをおすすめします。配送スピードを上げることももちろん大切ですが、雨の日はゆっくり確実に業務を進めることに重点を置くようにしてください。
軽貨物ドライバーが常備しておくべき雨具
稼働中に突然雨が降り出しても対応できるよう、軽貨物ドライバーは以下のような雨具を常備しておくべきです。
- ビニール袋・段ボール・タオル
- レインコート・防水シューズ
- 配送車用のガラスコーティング
荷物を守るビニール袋や段ボールに加え、荷物が濡れてしまった際にさっと拭けるよう乾いたタオルを用意しておくと安心でしょう。
荷物を保護できるようどれだけ配慮していても、ドライバ―自身が濡れてしまうと運ぶ荷物も濡れやすくなります。加えて、濡れたドライバ―に荷物を届けられるお客様は決して良い気はしないでしょう。荷物だけでなく、自分自身を雨から守るための対策も必須です。
レインコートや防水シューズは必ず常備するようにしてください。靴に関しては、靴底にしっかりとした凹凸がある滑りにくいものを選ぶと良いでしょう。
結露により配送車のフロントガラスが曇らないよう、配送車に専用の曇り止めを塗布しておくのもおすすめです。
雨の日も安全に配送業務をこなそう
天候に関わらず、軽貨物ドライバーには正確に案件をこなすことが求められます。雨の日の配送は様々なリスクと隣り合わせであり、いつも以上に丁寧に業務を遂行しなければなりません。
雨天という悪条件の中でも時間通りにきれいな状態で荷物をお客様の元に届けられれば、お客様や運送会社からの信頼度の向上も期待できます。雨の日の配送をスムーズに進められるよう、今回お伝えした対策をぜひ実施してみてください。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。