自由な働き方や高収入に魅力を感じて仕事を始める人も多い「軽貨物」のドライバー。しかし、実際には収入の不安定さや過酷な労働環境に悩むケースも多く、「やってはいけない」といった声も寄せられています。
本記事では、軽貨物ドライバーが「やってはいけない」といわれてしまう要因を解説するとともに、稼働する前に知っておくべきリスクと、それに対する具体的な対処法をわかりやすく解説します。
目次
なぜ軽貨物は「やってはいけない」と言われるのか?

軽貨物のドライバーが「やってはいけない」といわれる理由として、次のものが挙げられます。
収入が安定しにくい
軽貨物ドライバーが「やってはいけない」といわれる理由の1つに、収入の不安定さが挙げられます。
軽貨物ドライバーは業務委託で働いている人が多く、業務量や配送距離、時期によって収入が大きく変動します。成果報酬制が主流のため閑散期には収入が激減するケースもあり、安定した生活が難しいと感じる人も少なくありません。
こうした収入面での不安が、「やってはいけない」といわれる一因になっています。
競合が多い
競合の多さも、軽貨物ドライバーが「やってはいけない」といわれる大きな理由です。
ECの利用が広がったことで配送の仕事は増えましたが、それに合わせて軽貨物ドライバーを目指す人も急増しています。その結果、業界全体が過当競争となり、安定した仕事の確保が難しくなっているというのが現状です。
軽貨物の仕事は比較的誰でも参入しやすいため、案件の取り合いも激しくなりがちです。どの運送会社に登録するかによっても、受けられる仕事の量や報酬に差が出ます。
中には高い手数料や厳しい条件を課す会社もあり、稼ぎやすさや働きやすさは、どんな会社と契約するかによっても大きく変わってきます。
稼働時間が長い
軽貨物ドライバーの仕事は労働時間が長くなりがちです。
多くのドライバーは業務委託契約で働いており、稼働する時間や休憩をとるタイミングも自分で管理しなければなりません。仕事を詰め込みすぎてしまい、1日中走り続けるような状況に陥ることもあります。
特に仕事に慣れていないうちは効率よく動けず、拘束時間が長くなりがちです。こうした負担の大きさも、軽貨物は「やってはいけない」といわれる一因となっています。
肉体的な負担が大きい
軽貨物ドライバーには、長時間の運転や重い荷物の運搬など身体に大きな負担がかかります。
荷物の種類や納品場所によっては階段を使って運ぶ必要があり、体力がない人にとっては厳しいと感じることも。また、軽い荷物でも丁寧な扱いが求められるため、運搬中は片時も気を抜くことができません。
肉体的な負担の大きさから「やってはいけない・やめとけ」などといわれることがあるのも事実です。
軽貨物ドライバーが担う大切な役割
「やってはいけない」といわれることもある軽貨物ドライバーですが、実際には地域社会の物流を支えるのに欠かせない存在です。
特に、「ラストワンマイル」と呼ばれる短距離配送では、トラック輸送では対応しきれない細かなニーズに応える役割を果たしています。急な配送依頼への柔軟な対応や個人宅や企業への迅速な配達など、さまざまな場面でその力が発揮されているのです。
軽貨物ドライバーに向いている人の特徴とは?

軽貨物ドライバーに向いている人の特徴として、次のものが挙げられます。
時間管理やスケジュール調整が得意
軽貨物ドライバーに向いているのは、時間管理やスケジュール調整が得意な人です。
配達の仕事では、効率の良いルートを組み立て、限られた時間の中で複数の荷物を確実に届ける必要があります。そのため、1件ごとの所要時間を見積もったうえで、全体のスケジュールを的確に管理する能力が求められるのです。
交通渋滞や天候の変化など、急なトラブルにも冷静に対応できる柔軟性や、自分で判断して行動する自立心も重要といえます。
肉体労働に耐えられる体力がある
肉体労働に耐えられる体力があることも、軽貨物ドライバーに向いている特徴のひとつです。
軽貨物は小型の荷物が多いとはいえ、日常的に積み下ろし作業を行うため、ある程度の体力は不可欠といえます。特に、真夏や真冬の作業では体力の消耗が激しく、長時間の運転も含めて持久力が求められます。
体力があれば急な案件にも対応しやすく、作業スピードも上がるため、収入アップにもつながります。そのため、軽貨物ドライバーは体力に自信がある人ほど活躍できる仕事です。
運転が苦にならない
軽貨物ドライバーは長時間運転することも多いため、運転が苦にならないというのは大切な資質です。業務の大半は運転を中心に構成されており、移動中も冷静さや集中力を保てることが重要とされています。
一人で黙々と作業をすることが多いため、自分のペースで仕事を進めたい人にも適した仕事といえます。
軽貨物ドライバーとして成功するためのポイント

軽貨物ドライバーとして長く安定的に稼ぐためには、がむしゃらに働くだけではいけません。成果を出しているドライバーほど、仕事の選び方・時間の使い方・健康管理などに気をつけています。ここでは、軽貨物ドライバーとして成功するために押さえておきたい重要なポイントを解説します。
信頼できる配送会社・マッチングサービスを選ぶ
成功するドライバーに共通しているのは、契約先の選び方が上手いという点です。軽貨物の仕事は、どの会社やプラットフォームを通じて案件を受けるかによって、収入・働きやすさ・案件数が大きく変わります。信頼できる配送会社やマッチングサービスを選ぶ際は、次のポイントを確認しましょう。
- 手数料率が明確で、報酬の支払いが安定している
- ドライバーへのサポート体制(案件紹介・車両リース・保険加入支援など)が整っている
- 高単価案件が豊富で繁忙期に強い
全国に拠点を持ち、ドライバーサポートが充実している企業と契約すれば、安定的に仕事を受けられる環境を整えやすいです。
スケジュール管理と時間の使い方を徹底する
軽貨物ドライバーの収入は「どれだけ効率的に仕事を回せるか」で大きく変わります。無計画に動いてしまうと配送の無駄や空き時間が増え、稼働時間が長くなるだけでなく収益も下がります。成功しているドライバーは、次のような工夫をしています。
- 配送ルートを事前にシミュレーションしておく
- ピーク時間帯(午前・夕方)に合わせて効率的に案件を組む
- 配達エリアを絞って移動コストを削減する
「長く働く」よりも「短時間で成果を上げる」ことを意識すれば、心身の負担を減らしつつ収入アップを実現できます。
複数の契約先・案件ルートを確保しておく
軽貨物ドライバーとして安定的に稼ぐには、複数の収入源を持つことが大切です。1つの運送会社やプラットフォームだけに依存すると、繁忙期・閑散期の波や契約終了によって、収入が一気に落ち込むリスクがあります。複数の企業や配送アプリに登録しておくことで、「繁忙期には安定案件」「閑散期にはスポット案件」など、状況に応じた柔軟な働き方が可能になります。
また、固定ルート配送と単発案件をバランスよく組み合わせることで、月間の稼働スケジュールを最適化できるのもポイントです。
経費の管理と節税を徹底する
個人事業主として働く軽貨物ドライバーにとって、経費管理は「収入を守る」ための重要な要素です。ガソリン代・オイル交換・タイヤ・高速料金・保険料など、業務に関連する支出は経費として計上できます。
日々の支出をレシートやアプリでこまめに管理し、確定申告の際には青色申告を活用することで、最大65万円の控除を受けることが可能です。節税対策を意識することで、同じ売上でも手取りを増やすことができるため、実質的な収入アップに繋がります。また、会計ソフトを活用すると、経費仕分けや確定申告がスムーズになるのでおすすめです。
軽貨物ドライバーを始める前に知っておくべきこと

軽貨物ドライバーを始める前に知っておくべきこととして、次のものが挙げられます。
不安定な収入リスクを理解しておく
軽貨物ドライバーを始める前に理解しておきたいのが、収入の不安定さです。多くの場合、業務委託契約で働くため、仕事量や時期によって収入が大きく変動します。繁忙期は稼げても、閑散期には収入が落ち込むことがあるということはあらかじめ知っておきましょう。
案件が取れないと収入がゼロになってしまうケースもあるため、安定を求める人には慎重な検討が必要です。リスクを把握し、備えることが長く続けるための大切な要素となります。
初期投資や維持費を把握する
初期投資や維持費について把握することも、軽貨物ドライバーを始める際の大切なポイントです。
車両の購入や黒ナンバーの取得、カーナビやスマートフォンなど業務に必要な機材の導入など、開業にかかる資金は一般的に50万円~250万円程度が目安とされています。
燃料費やメンテナンス費用、自賠責・任意保険料、自動車税などの諸経費も必要です。事前に必要な設備やコストをしっかり見積もり、余裕のある資金計画を立てることが、安定した運営につながります。
事業内容や契約形態について十分に調査する
軽貨物運送は、荷主から荷物を預かり、軽バンなどの車両で配達する業務です。ほとんどのケースでは個人事業主として運送会社と業務委託契約を結びます。トラブルを避けるには、事業内容や契約形態について十分に調査することが重要です。
契約内容には、報酬の仕組みや自己負担費用、解約条件など細かな項目が含まれています。中身をしっかり確認して、後々自分が不利になるような条件が含まれていないかをチェックしておきましょう。
軽貨物ドライバーの将来性
軽貨物ドライバーを目指す上で、注目するべきなのは将来性です。軽貨物ドライバーは十分に将来性のある仕事であり、目指す価値もあります。ここでは、軽貨物ドライバーの将来性について解説します。
EC市場の拡大で軽貨物ドライバーの需要は増加傾向にある
近年、ネット通販の普及により、個人宅への配送件数は年々増加しています。特にAmazonや楽天などのECサイト、さらにはフードデリバリーサービスの需要拡大により、軽貨物ドライバーの仕事量は確実に増えているのが現状です。大手配送会社だけでなく、中小企業や個人事業主への委託需要も高まっており、今後も安定した案件の確保が見込めます。
ラストワンマイル配送の重要性が高まっている
物流の最終区間を担う「ラストワンマイル配送」は、今後さらに注目される分野です。顧客のもとへ物を届ける役割を果たす軽貨物ドライバーは、大手物流会社のシステムだけでは対応しきれない柔軟な配送を行う重要な存在です。
個人宅への小口配送、時間指定便、即日配送など多様なニーズに応えられる軽貨物ドライバーは、今後も社会的に欠かせないポジションを維持するでしょう。
フリーランスドライバーの働き方が多様化している
従来は会社に所属して働くケースが主流でしたが、近年は個人事業主として自由に働くドライバーが増えています。配送マッチングアプリや業務委託ネットワークの拡大により、単発案件や短時間稼働など柔軟な働き方が可能になりました。
「副業として軽貨物を始めたい」「自分のペースで働きたい」というニーズに応えられるため、働き方の自由度が今後も高まっていくと考えられます。
女性ドライバーやシニア層の参入も進んでいる
軽貨物配送は、普通免許さえあれば始められる仕事であり、性別や年齢に関係なく挑戦しやすい職種です。近年では、体力に自信のある女性ドライバーや、定年後に再就職するシニアドライバーも増加しています。
小型の荷物や短距離配送を中心に選べるため、ライフスタイルに合わせた働き方ができるのも軽貨物業界の強みです。
軽貨物ドライバーに関するよくある質問

軽貨物ドライバーに関するよくある質問に回答します。
Q. 軽貨物ドライバーになるために特別な資格は必要ですか?
いいえ、普通自動車運転免許があれば始められます。大型免許や特別な資格は不要ですが、軽貨物の事業を行うには「黒ナンバー」の取得が必要です。これは営業用車両で配送を行うために必要な登録で、運輸支局に申請して取得します。開業にあたっては、車両の準備や保険加入など、最低限の手続きもセットで行いましょう。
Q. 軽貨物ドライバーは副業としてもできますか?
はい、副業として働くことも可能です。最近では、土日や夜間のみ稼働できる案件や、マッチングアプリを使って短時間で完結するスポット配送の仕事も増えています。しかし、本業との兼ね合いで十分な休息が取れないと事故や体調不良につながるおそれがあるため、無理のない稼働スケジュールを組むことが大切です。
Q. 女性でも軽貨物ドライバーとして働けますか?
もちろん可能です。近年は女性ドライバーの需要が高まっており、実際に多くの女性が活躍しています。軽貨物配送は、小型の荷物や短距離配送が中心のため、体力に大きな自信がなくても続けやすい仕事です。また、時間を柔軟に調整できるため、子育てや家事と両立しながら働く方も増えています。
Q. 軽貨物ドライバーの平均月収はどのくらいですか?
働き方や契約先によって異なりますが、平均的な月収は25〜50万円前後が一般的です。固定のルート配送や企業便を中心に安定して働く人もいれば、繁忙期に複数案件を掛け持ちして月70万円以上を稼ぐ人もいます。「高収入を狙いたい」場合は、単価の高いチャーター便や企業専用便を中心に契約するのが効果的です。
Q. 軽貨物ドライバーに年齢制限はありますか?
基本的に年齢制限はありません。普通免許があり、健康状態に問題がなければ、何歳からでも始められる仕事です。実際に50代・60代でドライバーとして活躍している方も多数います。体力に合わせて働き方を調整できるのも、軽貨物ドライバーの大きな魅力です。
軽貨物ドライバーを目指すなら事前にリスクと対策を知っておこう
軽貨物ドライバーは自由度が高く、努力次第で収入も伸ばせる魅力的な仕事です。しかしその一方で、収入の不安定さや労働環境の厳しさなど、見逃せないリスクも存在します。
軽貨物ドライバーを始める前に、必要な知識や費用、契約内容をしっかりと把握し、自分に合った働き方ができるかどうかを見極めることが大切です。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。





