「軽貨物ドライバーは稼げる!」というキャチコピーの求人広告を見かけたことはありませんか?月収の高さをアピールする運送会社は多いですが、会社によっては月収から「ロイヤリティ(中抜き)」を差し引く前の金額を提示している会社もあり、提示している月収と手取りの金額が異なるケースも少なくありません。
本記事では、軽貨物運送業で中抜きが発生する理由や、相場、手取りを増やす方法などをご紹介いたします。
目次
軽貨物運送業のロイヤリティとは?

軽貨物運送業のロイヤリティ(中抜き)とは、運送会社に支払う業務委託手数料を指します。
ロイヤリティには、月収から一定の手数料率が引かれるパーセント型と、月収に関わらず毎月同じ金額が差し引かれる固定型の2つのパターンがあります。
パーセント型は、稼げば稼ぐほどロイヤリティも増額しますが、月収が少ないときは、差し引かれる金額も少額で済むため、経済的負担が軽減できるのがメリットです。
固定型は、月収に関わらず差し引かれる金額が一定のため、多く稼げばパーセント型よりも手取りが増える可能性があります。しかし、稼ぎが少額の場合も同じ金額が引かれるので注意が必要です。
請負元によってどちらの形式を採用しているかは異なり、ロイヤリティの手数料率や金額も様々です。
軽貨物運送業でロイヤリティが発生する理由

軽貨物運送業で中抜きが発生する理由は、業務委託ドライバーと契約することによって、請負元の運送会社に発生する人件費をカバーするためです。
具体的には、業務委託ドライバーのシフト調整、新人ガイダンス、事務作業などが含まれます。加えて、ドライバーが配送中にトラブルや事故を起こした際の対応や、配送先からのクレーム対応なども請負元が対応します。
ロイヤリティが発生するのは、前述したように、請負元は業務委託ドライバーの知らないところで多くの仕事を担っているためです。
軽貨物運送業のロイヤリティの相場

軽貨物運送業のロイヤリティの相場は、一般的に月収の10~15%程度です。手数料率は運送会社によって異なりますが、多くの業者でこの範囲に収まっています。
例えば、月の売上が30万円の場合、そのうちの3~4.5万円程がロイヤリティとして差し引かれます。
軽貨物運送業界のロイヤリティの相場を理解し、複数の会社を比較して適正な金額を見極めましょう。ロイヤリティが高すぎたり、極端に低すぎたりする会社には注意が必要です。
ロイヤリティなしの委託案件の注意点

一見魅力的に見えるロイヤリティなしの案件ですが、安易に請け負うのは危険です。ここでは、ロイヤリティなしの委託案件の注意点を3つご紹介いたします。
荷物単価が安い
軽貨物運送業でロイヤリティなしの案件に潜む落とし穴が、荷物単価の安さです。
「ロイヤリティがない分、手取りが増える!」と安易に期待してはいけません。荷物単価の低さに比例して総収入が減り、結果としてロイヤリティを差し引かれているのと変わらないケースも。
ロイヤリティありでも、荷物単価が高い業者や、ロイヤリティの金額に上限があるほうがより多くの収益を見込める場合もあります。
荷物単価が安い場合、1日の配送料や業務時間を増やさなければ、平均水準の月収に届かないため、体力や精神的負担も大きいです。
ロイヤリティの有無だけではなく、荷物単価にも着目して運送会社を選定しましょう。
別の名目で手数料が引かれている
ロイヤリティなしの案件は、別の名目で手数料が引かれている場合があります。
例えば、「管理費」や「運営費」などの名目で、実質的に手数料と同じ額が引かれているケースも珍しくありません。
差し引かれる金額や内容に不明瞭な手数料がないか、契約内容を念入りに確認しましょう。
長時間働かないと稼げない
上記のように、荷物単価が安い、別の名目で手数料が引かれている場合、ロイヤリティなしの条件でも、時給に換算すると最低賃金以下だったというケースも。業務委託によるドライバーは、一般的な雇用契約とは異なるため、報酬金額と業務内容次第では、最低賃金を下回ってしまう可能性もあります。
そのような労働環境下で稼ぐためには、「長時間働く」「休憩や休日を削る」など、身体的にも精神的にも負担の大きい働き方をしなければいけません。
軽貨物ドライバーを募集している運送会社は多く存在するため、複数の会社の労働条件や報酬を比較して、長期間働き続けられる会社に決めることが重要です。
ロイヤリティで失敗しないための会社選び

軽貨物ドライバーとして業務委託契約を結ぶ際、最も注意すべき点のひとつが「ロイヤリティの仕組み」です。ロイヤリティが安いから良い、高いから悪いと単純に判断するのではなく、総合的に見て「実際に手元に残る金額が多いかどうか」を見極める必要があります。ここでは、ロイヤリティで失敗しないために必ず確認しておきたいポイントを詳しく解説します。
ロイヤリティの仕組みが明確に説明されているか確認する
会社選びの基本は、ロイヤリティの計算方法や差し引かれる経費が「明確に説明されているか」です。丁寧に説明してくれる会社ほど契約内容に透明性があり、信頼性が高い傾向があります。
一方で、ロイヤリティの計算基準や控除の内訳が曖昧な会社は、契約後に「思ったよりも手取りが少ない」と感じるケースが多く、トラブルに発展しやすいのが実情です。疑問点に対してすぐ回答してくれるかどうかも、重要な判断基準になります。
荷物単価や案件の質がロイヤリティに見合っているか評価する
ロイヤリティの有無ばかり注目してしまうと、肝心の「案件の質」や「荷物単価」を見落としがちです。ロイヤリティが安くても、荷物単価が低すぎれば手取りは減りますし、案件の質が悪いと長時間働いても満足のいく収入は得られません。
一方でロイヤリティが多少高くても荷物単価が高い案件を安定的に受けられる会社なら、結果として手取りは増えます。ロイヤリティはあくまで評価基準の1つであり、「総収入の増えやすさ」をセットで判断することが大切です。
差し引かれる費用の種類や条件を事前に確認する
ロイヤリティ以外にも、管理費・事務手数料・システム利用料など、会社ごとに差し引かれる費用は異なります。ロイヤリティが低いように見せかけて、別名目の手数料を加算してくるケースもあり、契約後に気づいて後悔する方も少なくありません。
会社を選ぶ際は
- どの名目でいくら差し引かれるのか
- 手数料の上限はあるか
- 月収が低い月でも固定で差し引かれるものはあるか
といった点を必ず確認しておくことが重要です。費用の透明性が高い会社ほど、長く安心して働けます。
稼働時間やシフトの自由度が高いかどうかをチェックする
軽貨物ドライバーとして手取りを最大化するためには、効率的に働ける環境が不可欠です。ロイヤリティが低くても、シフトの制限が厳しく、希望する働き方ができない会社では自由度が下がり、結果的に収入にも影響が出ます。
稼働時間を柔軟に調整できる会社であれば、効率の良い時間帯や地域を選んで働くことができ、収入アップにつながります。働き方の自由度はロイヤリティと同じくらい重要な判断基準です。
面談時の対応が丁寧で誠実かどうかを重視する
会社選びの最終判断ポイントは「人」です。面談で担当者が誠実かつ丁寧に対応してくれる会社は、トラブル時のサポート力が高く、働き始めてからも安心して相談できます。逆に、質問に曖昧な回答をしたり、都合の悪い部分を隠そうとしたりする会社は注意が必要です。
契約前に複数社と面談し、比較しながら「信頼して任せられる会社かどうか」を自分の目で判断することが大切です。
軽貨物ドライバーが手取りを増やす4つの方法

業務委託の軽貨物ドライバーの中には、月収50万円以上を稼ぐ人も存在します。軽貨物ドライバーとして手取りを増やすためには、どのような方法が効果的なのでしょうか?
ロイヤリティが安い運送会社と委託契約を結ぶ
軽貨物ドライバーとして手取りを増やすためには、良心的なロイヤリティを設定している運送会社と契約を結びましょう。
ロイヤリティが高すぎる会社はもちろんですが、前述した通り、ロイヤリティが極端に低すぎる会社もおすすめできません。
業務委託の軽貨物ドライバーの方におすすめしたいのは、比較的ロイヤリティが安く、荷物単価が高い運送会社です。
ロイヤリティは、複数の会社を比較して相場を見極めることが重要です。ロイヤリティ以外の経費が多い会社や、差し引かれる経費の内容が示されていない会社には注意しましょう。
インターネット情報だけではわからない場合が多いので、まずは複数社との面談を通して慎重に会社選びをするところから始めてみましょう。
フリーランスドライバーとして稼働する
フリーランスドライバーとして働けば、運送会社にロイヤリティを支払う必要がなく、全収入を自分のものにできます。
※ここでいう「フリーランスドライバー」とは、特定の会社と専属で業務委託契約をするのではなく、自ら荷主に対して営業活度を行い仕事を受注してくるドライバーのことを指します。
フリーランスドライバーは、荷主と直接的にやり取りをするため、ロイヤリティの支払い義務がないのに加え、自由度が高く、自分のペースで働けるのが魅力です。
ただし、フリーランスドライバーは、自分で案件を獲得する必要があるため、人脈・ネットワーク作りと、営業スキルが必要不可欠。
営業スキルや人脈の無い方がこの方法で稼ぎ始めるのにはそれなりにハードルが高いと言えます。
経費を削減する
経費を削減することも手取りを増やすのに効果的な方法です。ガソリン代や車両維持費、保険料などを見直し、無駄を削減しましょう。
経費削減には、下記の方法がおすすめです。
- 効率的な配送ルートを選択する
- 近場の安いガソリンスタンドを利用する
- 駐車場の値下げ交渉をする
- 働く期間に応じて車の取得手段を決定する
- 無事故・無違反を徹底する
軽貨物ドライバーの車両の取得手段は、購入・リース・レンタルの3つが主流です。
長期的に働くことを見据えている方は購入、短期的に働きたい、働き続けるか未定という方は、1日あたりの使用料が安く済むリースやレンタルがおすすめです。
また、無事故・無違反を徹底すれば、1年ごとに保険の等級が上がり、保険料が割引されます。保険会社や契約内容によって異なりますが、ゴールド免許の場合、年間10~20%の割引を受けることが可能です。
安い金額であったとしても、積み重なることで高額な経費の削減に繋がります。日頃から経費削減を意識して業務に取り組みましょう。
1日の配送量を増やす
1日に配達する荷物数を増やすことは、収入増加に直結します。
1日の配送量を増やす上で重要なのが、効率的なルート選択です。配送先を集約したり、リアルタイムの交通情報を即座に収集したりして、無駄を省き、短時間でより多くの荷物の配送を心がけましょう。
効率的なルート選択によって1日の配送量を増やせば、稼働時間や日程を増やすことなく報酬をアップさせられますよ。
軽貨物ドライバーのロイヤリティに関するよくある質問

軽貨物ドライバーとして独立を検討する際、多くの人が気になるのが「ロイヤリティ(中抜き)」に関する疑問です。ここでは、実際に寄せられることの多い質問にわかりやすく回答します。
Q. ロイヤリティが安い会社のほうが稼げますか?
必ずしもそうとは限りません。ロイヤリティが低くても 荷物単価が低い・案件が不安定・別名目の手数料がある など、手取りが増えないケースは多くあります。
逆にロイヤリティが多少高くても、荷物単価が高く、安定的に案件を提供する会社 のほうが結果的に手取りが多くなることもあります。重要なのは、ロイヤリティだけではなく、総合的な収入構造を比較することです。
Q. ロイヤリティなしの会社は本当にお得なのでしょうか?
「ロイヤリティなし」という言葉だけで判断するのは危険です。実際には、
- 荷物単価が極端に低い
- 管理費・運営費など別名目の手数料が発生する
- 長時間働かなければ稼げない
というケースが多く見られます。ロイヤリティがない場合でも、総収入が十分かどうか、手数料の内訳が透明かどうか を事前に確認する必要があります。
Q. ロイヤリティの相場はどれくらいですか?
軽貨物業界におけるロイヤリティの相場は 月収の10〜15%前後 が一般的です。しかし、会社ごとに以下の違いがあるため必ず比較が必要です。
- パーセンテージ型か固定型か
- 上限額の有無
- 経費項目が明確かどうか
相場から大きく外れた数値を提示している会社は、契約前に詳細を確認することが重要です。
Q. 手取りを最大化するにはロイヤリティ以外にどこを見ればいいですか?
手取りを増やすためには、以下も必ずチェックすべきポイントです。
- 荷物単価(案件の質)
- 1日の配送量を増やしやすい環境か
- 稼働ルールの自由度
- 経費負担(ガソリン代・駐車場代など)の有無
- サポート体制が整っているか
特に荷物単価と案件の安定性は、収入を決める最重要ポイントです。
Q. 契約前にロイヤリティの計算方法を確認できますか?
信頼できる運送会社であれば、契約前に明確な計算方法や手取りのシミュレーションを提示してくれます。曖昧な回答をする会社や詳細を見せたがらない会社は、後々トラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。
ロイヤリティの安さに惑わされないためには

ロイヤリティの有無に重きを置いて運送会社を決めるのはおすすめできません。
ロイヤリティ無しが稼げるとは限らないため、ロイヤリティが安い案件に潜むリスクも把握しておくことが大切です。
快適に働き続けられる会社を選定するためには、その他の経費や荷物単価、労働環境なども考慮して総合的に判断しましょう。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
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