配送ドライバーが担当する案件の中には、夜間に稼働するものも多数存在します。夜間ドライバーは深夜手当により稼げるというイメージが強い一方で「きつい」「やめとけ」といった声も聞かれますが、実際のところはどうなのでしょうか。

今回のコラムでは、夜間ドライバーのメリット、デメリットについて、日勤ドライバーと比較しながら詳しく解説していきます。夜間ドライバーの求人を探す方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

配送ドライバーが夜間に稼働できる案件

配送ドライバーが夜間に稼働できる案件として、主に以下が挙げられます。

  • スーパー・コンビニなどへのルート配送
  • スポット便・チャーター便

スーパー・コンビニなどへのルート配送

固定の配送先に荷物を届けるルート配送。中でもスーパーやコンビニなどへの納品は、夜間に行われることが多いです。

スーパーでは営業が始まる前に商品の陳列が終わっている必要があり、生鮮食品を取り扱うため、商品が届くのは深夜から早朝にかけてでなければなりません。

24時間営業のコンビニへの納品は1日に数回行われますが、深夜に行われる分は夜間ドライバ―が担うことになるでしょう。

他にもルート配送の案件は多数存在しますが、営業時間外に商品の陳列を済ませておきたい小売店では特に、夜間の配送が多くなります

スポット便・チャーター便

スポット便とは、急な需要に応じて単発で依頼される案件を指します。チャーター便はトラックやワンボックスなどの車両を貸し切って荷物を運ぶ案件のことであり、大型の荷物や精密機械、生花といった特殊な荷物を配送するケースが多いです。

こうした案件の大半は緊急性が高く、時間厳守で運ばなければなりません。そのため、渋滞がなくスムーズに配送しやすい夜間に依頼される傾向にあります。

夜間ドライバーはきついって本当?

職種に限らず、夜勤の仕事には「きつい」「大変」といったイメージがつきものです。夜間ドライバーも例外ではなく、稼げるといった理由から夜勤を始めたはいいものの、思った以上に大変だったというケースも少なくありません。

ただ、夜間ドライバ―は体力的な負担が大きい一方で、一度慣れてしまえば日中よりも快適に業務にあたることが可能です。日勤ドライバ―と比較した夜間ドライバ―のメリットやデメリットについて、この後詳しく解説していきます。

夜間ドライバーのメリット

夜間ドライバーのメリットとして、主に以下の3点が挙げられます。

  • 深夜手当で稼げる
  • 道が空いていて運転しやすい
  • 昼間の時間を自由に使える

深夜手当で稼げる

他の職種にも当てはまりますが、午後10時~午前5時に稼働すると通常の25%以上の深夜手当が支給され、基本給が高くなります

同じ時間稼働しても日勤のドライバ―の1.25倍以上の報酬を得られることから、夜間ドライバ―は効率良く稼ぎたいという方におすすめだと言えるでしょう。実際、稼ぎやすいことを決め手として夜間の稼働を選択するドライバーも多いようです。

道が空いていて運転しやすい

時間に追われながらの稼働を強いられることが多い配送ドライバーにとって、渋滞による遅延は大きなストレスとなります。交通量が多い日中の道路を運転していると、右折や車線変更などで気を遣う場面も増えるでしょう。

夜間の道路は交通量が少ないため運転しやすく、渋滞に巻き込まれる心配もほとんどありません。予定通りに配送を進めることができ、日勤ドライバーに比べて稼働中のストレスがかなり少ないと言えます。

昼間の時間を自由に使える

日中働いていると、役所や銀行、病院などに行く時間を確保できず不便に感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

  • 銀行や役所での用事を済ませる
  • 平日の昼間に空いているショッピングモールや映画館に行ってゆったりと過ごす
  • 子どもの学校行事に参加する

夜間ドライバ―であれば、日中の時間を上記のように自由に使うことが可能です。

夜間ドライバーのデメリット

上記のようなメリットがある一方で、夜間ドライバ―には以下のようなデメリットがあります。

  • 生活リズムが不規則になりやすい
  • 疲労が溜まりやすい
  • 家族・友人とすれ違いになる

生活リズムが不規則になりやすい

夜間に稼働するドライバ―は太陽が出ている昼間に寝ることになるため、慣れていない方は特に睡眠の質が下がりやすいです。不規則なスケジュールで稼働するドライバ―は特に、睡眠時間や起床時間がバラバラになりやすく、睡眠不足に悩まされる方も少なくありません。

長時間の運転を伴う夜間ドライバ―にとって、睡眠不足は大敵です。集中力の低下や反応の遅れは、事故のリスクの増大に繋がります。交通量が少なく視界が悪い夜間は、単調な運転や同じような景色によって眠気が誘発されやすく、居眠り運転のリスクも懸念されます。

健康な状態で稼働することは日勤、夜勤に限らず重要ですが、睡眠習慣が不安定になりやすい夜間ドライバーには、より一層体調管理に気を配ることが求められるでしょう。

疲労が溜まりやすい

昼夜逆転の生活を続けていると体内時計が狂ってしまい、以下のような悪影響が生じると言われています。

  • 眠りが浅くなる
  • 慢性的な疲労を感じやすくなる
  • 自律神経が乱れる
  • 慢性疾患(肥満・高血圧・糖尿病など)のリスクが増大する
  • ストレスが蓄積されやすくなる

身体に不調が生じているにも関わらず無理な稼働を続けていると、健康状態が悪化して業務に支障が出てしまう可能性も十分考えられるでしょう。

家族・友人とすれ違いになる

夜間に稼働して日中に睡眠をとっている方は、どうしても家族や友人との時間を過ごすことが難しくなります。とはいえ、日中に活動する家族や友人に合わせて睡眠時間を無理に調整するのは、業務中の運転に支障が出てしまうためおすすめできません。

友人や家族との時間を確保することとの両立が難しい点は、夜間ドライバ―の大きなデメリットの1つだと言えます。

夜間ドライバーの求人の探し方

  • インターネットの求人サイトで検索する
  • 派遣会社に登録・業務委託会社と契約を結ぶ
  • 知人・友人に紹介してもらう

夜間ドライバ―の案件を探す方法としては主に上記の3つが挙げられ、日勤の案件を探す場合と大差ありません。案件を選ぶ際に注意すべきポイントも同様です。

業務内容に見合った報酬を得られるかの確認は必須。さらに業務委託ドライバーの場合は、運送会社に支払うロイヤリティが相場とかけ離れていないかや、違約金の有無などもチェックしておくべきでしょう。

個人事業主として稼働する軽貨物ドライバーが契約する運送会社の選び方については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。気になる方は、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

【高速道路の深夜料金見直し】夜間ドライバーへの影響は?

夜間ドライバ―として稼働する上でチェックしておきたい要素の1つとして、高速道路の料金が挙げられます。

高速道路には深夜料金割引が存在しますが、2024年7月に割引適用条件の見直しがNEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本によって発表されました。運用開始予定は2025年3月末頃とされており、具体的な改正内容は以下の通りです。

  • 割引適用時間帯を0~4時から22時~翌5時に拡大
  • 割引適用時間帯を超える前、超えた後の走行は割引の対象外に変更
  • 割引適用距離に上限を設定
  • 割引適用方法を即日割引から後日還元に変更
  • 400kmを超える走行の割引額の増加

参考:JAHIC 日本高速情報センター
※2025年1月時点の情報です

現在は割引適用時間帯の0〜4時に高速道路にいれば、0時以前に走行した分も割引の対象となるため、0時になり次第高速道路を出て朝まで休憩を取るドライバ―が多いです。

しかし、今後は割引適用時間前後に走行した分は割引の対象外となります。そのため、22~翌5時の間は高速道路を運転し、適用時間が終了する5時以降に休憩をとるという働き方が広まっていくと予想されます

今回の改正により、0時手前に多くのドライバ―が高速道路の出口付近に待機することで渋滞が発生してしまう、いわゆる「0時待ち」の解消が期待できるでしょう。一方で、深夜の稼働や長距離の運転が助長されることが懸念されています。

夜間ドライバーは体調管理の徹底が大切

夜間ドライバ―には稼ぎやすい、快適に運転できるといったメリットがある一方で、昼夜逆転による体力的な負担は決して無視できません。居眠り運転のリスクも高いため、日勤ドライバー以上に体調管理を徹底し、健康な状態で業務に臨むことが重要だと言えます。

自身の体調やライフスタイルなどを踏まえて日勤と夜勤のどちらに向いているのかを見極め、自分に合った無理のない働き方を取り入れてみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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