エンジンオイルは車の走行性能やエンジンの寿命に関わる重要な役割を担っており、適切な頻度での交換が不可欠です。特に、長時間の運転や頻繁な停止・発進を繰り返す軽貨物ドライバーの場合は配送車のエンジンに大きな負荷がかかりやすく、よりこまめなオイル交換が求められます。
業務中に突然エンジンが止まるといったトラブルを避けるためにも、交換時期の目安を把握しておくことが大切です。本記事では、軽貨物車両におけるエンジンオイル交換の重要性や適切な頻度、費用相場について詳しく解説します。
目次
軽貨物車両におけるエンジンオイルの役割
エンジンオイルは車の心臓部ともいえるエンジンを保護し、スムーズに機能させるための非常に重要な役割を担っています。主な役割は以下の5つです。
冷却 | 高温になるエンジン内部の熱を吸収・分散させ、エンジンを冷却する |
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潤滑 | エンジン内の金属部品同士の接触面に油膜を作り、摩擦や摩耗を防ぐ |
防錆 | エンジン内部の金属表面を油膜でコーティングし、錆びの発生を防ぐ |
洗浄 | エンジン内部で発生する汚れを吸着する |
密封 | ピストンとシリンダーの隙間を埋めて、ピストンの上下動を補助する |
上記が適切に機能することで、エンジンの寿命を延ばして燃費を向上させ、トラブルを未然に防いでいます。
軽貨物車両でこまめなオイル交換が必要な理由

軽貨物車両では、一般的な自家用の普通乗用車に比べて、よりこまめなエンジンオイル交換が重要とされています。その主な理由は以下の通りです。
普通自動車に比べてエンジンへの負荷が大きい
そもそも軽自動車は、普通自動車に比べてエンジンオイルが劣化しやすい以下のような構造的な特徴を持っています。
- エンジンルームが狭い
- エンジン回転数が高い
- ターボエンジンを搭載している車種が多い
エンジンルームが狭いと熱がこもり、オイルによる冷却にも限界があることから、エンジンにとって過酷な環境になりやすいです。
軽自動車の排気量は660cc以下と定められており、十分なパワーを得るためにエンジンの回転数はどうしても高くなる傾向にあります。
加えて、小さな排気量を補うためにターボエンジンを搭載した車種も多く、高温や高速回転によってオイルの消耗がさらに進みやすくなります。
積載量・走行距離による負荷が大きい
軽貨物ドライバーは業務時間のほとんどを運転に充てているため、自家用車に比べて走行距離が長くなりがちです。エンジンが稼働する時間が長くなる分、エンジンオイルの劣化も早く進行します。
さらに、荷物を積んだ状態での走行が常態化していることも、エンジンへの負荷を高める大きな要因の1つです。
発進と停止を繰り返す機会が多い
都市部や住宅街で宅配業務を行う軽貨物ドライバーは、信号待ちや渋滞、多数の配送先での停車などにより、発進と停止を頻繁に繰り返す傾向があります。
低速走行やアイドリング時間も長くなるためエンジンの温度管理が不安定になり、エンジンオイルへの負荷が増加しやすいです。
こうした状況は「シビアコンディション」と呼ばれ、エンジンオイルの劣化を早める大きな要因とされています。業務上シビアコンディションにさらされやすい軽貨物ドライバーには、こまめなオイル交換と日常的な管理が強く推奨されます。
軽貨物車両のオイル交換の頻度は?
一般的な軽自動車のエンジンオイルを交換する推奨目安は、走行距離3,000km〜5,000kmごと、または前回の交換から3〜6ヶ月が経過したタイミングとされています。
ただ、軽貨物車両は自家用車に比べて使用頻度が高く1日の走行距離も長くなる傾向があるため、エンジンにかかる負担が大きくなりやすく、オイルの劣化も早いです。
案件量や担当するエリアによって異なりますが、フルタイムで稼働する軽貨物ドライバーの1ヶ月あたりの走行距離は約2,000~5,000km程度と言われています。従って、1ヶ月に1回を目安にオイルを交換することが望ましいです。
軽貨物車両のオイルを交換する目安
軽貨物車両におけるエンジンオイルの劣化は、単に走行距離だけで決まるわけではありません。以下のような要素によっても、オイルの消耗スピードは大きく変わります。
- 車種
- 搭載されているエンジンのタイプ
- 走行する道の状態(勾配や舗装の有無など)
- 発進および停止の頻度
そのため、エンジンオイルの交換時期は、一般的な走行距離や期間だけでなく、車両の状態や使用状況も考慮して判断することが重要です。
- エンジン始動時や走行中に以前より大きな振動を感じる
- アイドリング中のエンジン音が通常より粗く聞こえる・高い音に変化する
上記のような違和感に気づいたら、走行距離や期間に関わらず、早めのオイル交換を検討しましょう。
軽貨物車両のオイル交換の費用相場は?

軽貨物車両のエンジンオイル交換にかかる費用は、依頼先や使用するオイルの種類によって異なりますが、約5,000円前後を目安にするとよいでしょう。主な依頼先ごとの相場は以下の通りです。
- カーディーラー:7,000~12,000円程度
- カー用品店:3,000~5,000円程度
- ガソリンスタンド:2,000~5,000円程度
ガソリンスタンドは比較的安価にエンジンオイルを交換できる上、予約不要で立ち寄りやすいのが特徴です。ただし、オイルの種類が限られていたり、専門的な知識を持つスタッフが常駐していない場合もある点に留意しておきましょう。
カー用品店はオイルの選択肢が多い、カーディーラーは車種に精通した整備士が担当してくれる、点検や洗車サービスが付くこともあるなど、それぞれメリットがあります。ただ、その分費用は高めになりがちです。
ここまでご紹介した費用相場はあくまで目安であり、実際の金額は車種や使用するオイルの種類によって異なります。そのため、依頼前に詳細を確認しておくことをおすすめします。
軽貨物車両のエンジンオイル交換を怠るとどうなる?

車が正常に走行するために欠かせないエンジンオイル。軽貨物ドライバーが交換を怠ると、以下のような悪影響が生じる可能性があります。
エンジンが急に止まる
エンジンオイルの交換を怠ると、エンジンへの負荷が増して性能が低下し、加速が鈍くなったり、最悪の場合はエンジンが焼き付いてしまう恐れがあります。こうした状態を放置すると、走行中に突然エンジンが停止するなど重大なトラブルに繋がりかねません。
自分自身だけでなく、周囲を巻き込む事故のリスクも高まるため、軽貨物ドライバーにとってエンジンオイルの適切な管理は不可欠です。
軽貨物ドライバーとしての信頼を失う可能性がある
軽貨物車両は、軽貨物ドライバーが日々の業務を行う上で最も重要な「商売道具」です。エンジンオイル交換などのメンテナンスを怠り、車両が故障して使用できなくなってしまうと、当然ながら仕事ができなくなってしまいます。
特に、運送会社と委託契約を結んだり荷主と直接契約して業務を請け負っている場合、車両トラブルによる配送の遅延は、委託元や取引先からの信頼を失う決め手となり得ます。
配送車の急な故障を100%防ぐことはできません。しかし、予期せぬトラブルのリスクを軽減するためのメンテナンスは、業務をスムーズに遂行し、ドライバーとしての信頼を維持するために不可欠なマナーとも言えるでしょう。
軽貨物車両のオイルは適切な頻度で交換しよう
軽貨物ドライバーが業務で使用する配送車は、長時間の走行や頻繁な発進・停止によりエンジンに大きな負担がかかり、エンジンオイルの劣化も進みやすくなります。急な故障を防ぐためにも、月1回を目安にオイル交換を行うことが望ましいです。
ただし、オイルの劣化スピードは走行距離やルートの状態、車種によって異なるため、期間だけに頼るのはおすすめできません。日頃から車両の状態を点検し、異常を感じたら早めに交換する習慣を身につけましょう。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。