長時間の運転や荷物の積み下ろし作業の繰り返しをする軽貨物ドライバーにとって、腰痛はまさに難敵ともいえる問題です。腰痛が重症化すると業務に支障が出る可能性もあるため、早めに適切な予防や対処を講じることが非常に重要となります。

この記事では、軽貨物ドライバーが腰痛になる原因やメカニズムを深掘りし、予防策や腰痛になった場合の対処法、労災の適用について詳しく解説します。日々の運転業務を健康に続けるために、ぜひ参考にしてください。

軽貨物ドライバーが注意したい怪我とは

軽貨物ドライバーは、日々の配送業務においてさまざまな身体的な負担にさらされており、以下のような怪我に注意が必要です。

  • 腰痛
  • 肩こり
  • 捻挫
  • 腱鞘炎

中でも特に多く見られるのが、肩こりと腰痛。長時間の運転で同じ姿勢を続けたり、重い荷物の持ち上げを繰り返したりすることで筋肉が緊張し、肩や腰に過度な負担がかかるためです。

厚生労働省の発表しているデータによると、陸上貨物運送事業の腰痛発生率(死傷年千人率)は全業種平均の0.1を大幅に上回る0.41となっています。

参考:陸上貨物運送事業における腰痛の予防|厚生労働省

他にも、段差のある場所などで荷物を運んでいる最中に足を捻挫する、荷物の積み下ろし動作を繰り返す中で手首の腱鞘炎を発症するといった可能性が考えられます。

軽貨物ドライバーに腰痛が多い理由

軽貨物ドライバーに腰痛が多い理由は、運転中の姿勢と荷物の積み下ろし作業によって、腰へ継続的に負担がかかりやすいためです。配送業務では、長時間同じ姿勢で座り続ける時間が多く、腰まわりの筋肉が緊張しやすくなります。座った姿勢は一見楽に見えますが、実際には上半身の重みが腰に集中しやすく、血流の悪化や筋肉のこわばりにつながります。

さらに、軽貨物配送では荷物の積み込み、取り出し、運搬、納品といった動作を1日の中で何度も繰り返すのも原因です。重い荷物を持ち上げるだけでなく、中腰の姿勢で荷物を探したり、狭い車内で体をひねったりする動作も腰に負担をかけてしまいます。特に、急いでいるときに無理な姿勢で荷物を扱うと、腰痛やぎっくり腰につながる可能性があります。

また、配送スケジュールに追われると、休憩やストレッチの時間を十分に確保しづらいです。疲労が蓄積した状態で運転や荷扱いを続けると、筋肉の柔軟性が低下し、腰への負担を吸収しにくくなります。

このように、軽貨物ドライバーの腰痛は、長時間運転、荷物の積み下ろし、無理な姿勢、休憩不足が重なることで起こりやすくなります。日々の業務を長く続けるためには、腰痛を「職業柄仕方ないもの」と考えず、早い段階から予防を意識することが大切です。

【軽貨物ドライバー】腰痛になる原因・メカニズム

軽貨物ドライバーが腰痛を抱える主な原因は複数ありますが、中でも最も大きな要因とされるのは、長時間の運転による血行不良です。座った姿勢は立っている時よりも腰への負担が大きく、上半身の重みが腰に集中することで血流が滞りやすくなります。

運転中は同じ姿勢を長時間続けるため、腰回りの筋肉が緊張して硬直し、より血流が悪化しやすいです。猫背などの悪い姿勢で運転を続けていると背骨がゆがみ、腰への負担がさらに大きくなってしまいます。

重い荷物の積み下ろし作業に伴う腰を曲げたりひねったりする動作も、腰部の筋肉や関節、椎間板に過度なストレスをかける原因の1つです。

このように、軽貨物ドライバーは腰痛を引き起こすさまざまなリスクに日常的にさらされており、早めの対策が求められます。

軽貨物ドライバーが腰痛を予防する方法

軽貨物ドライバーが腰痛を予防する方法としては、主に以下が挙げられます。

シートの奥に深く腰掛ける

シートに正しく座ることは、長時間の運転による腰痛を予防するための第一歩です。

座面に深く腰掛け、背中全体、特に腰の部分が背もたれにしっかりと密着するように意識しましょう。シートと体の接触面をできるだけ多く確保することで、上半身の体重がシート全体に分散され、腰への集中した圧力を軽減できます。

理想的なのは、背骨が自然なS字カーブを保てる姿勢です。リクライニングを倒しすぎると腰との間に隙間が生じてしまい、かえって腰に負担がかかってしまうため注意してください。

座面の高さやランバーサポートを調整する

シートの調整機能は、腰痛予防のために積極的に活用しましょう。座面の高さは、膝が腰よりわずかに低くなるように設定するのが理想です。膝が腰より高い位置にあると骨盤が後ろに傾きやすくなり、結果的に腰への負担が大きくなってしまいます。

配送車にランバーサポート(運転席の背もたれに内蔵された腰部支援用のクッション構造)が備わっている場合は、前に出して腰椎の自然なカーブを支えられるよう調整します。

ランバーサポートが付いていない場合は、市販のクッションや折りたたんだタオルなどを腰の後ろに挟み、シートとの隙間を埋めることで代用可能です。

こうした工夫により、長時間の運転であっても正しい姿勢を保ちやすくなります。

こまめに立ち上がって休憩する

長時間の連続運転は腰まわりの血流を滞らせ、筋肉を凝り固まらせる大きな要因の1つです。そのため、定期的な休憩を挟むことは、腰痛を予防するうえで欠かせません。

休憩中は車内でじっとしているのではなく、できるだけ車両から降りて体を動かすことが効果的です。歩いたり腰や手足を軽く伸ばしたりすることで血行が促進され、筋肉の緊張を和らげることができます。

腰痛対策グッズを活用する

より快適な作業環境を整えたい方には、腰痛対策グッズの活用も有効な手段です。腰の後ろに挟んで使用する腰椎クッションは、シートと腰の隙間を埋めることで腰椎の自然なカーブをサポートし、正しい姿勢の維持を助けます

腰椎クッションには、以下のように様々なタイプがあります。

  • 低反発タイプ
  • 高反発タイプ
  • 全身を支えるシートタイプ
  • 腰をピンポイントで支える腰当てタイプ

クッションの座り心地や身体のどの部位を支えてくれるかは商品によって異なるため、可能であれば実際に試してみるか、口コミやレビューを参考にして選ぶことをおすすめします。

荷物の運搬時にも正しい姿勢を維持したい方には、コルセットの使用が効果的です。既に腰に痛みを感じている場合であれば、腰痛専用のサポーターを使って負担を軽減することも検討してみてください。

ストレッチを取り入れる

日々の生活や業務の中にストレッチを取り入れることは、腰痛予防に大きく貢献してくれます。業務の前後や休憩時間など、こまめに体を動かして筋肉をほぐすことを心がけましょう

例えば、座った状態で片足を組んで上半身を前に倒す「4の字前屈ストレッチ」は座ったまま実施でき、お尻周りの筋肉を伸ばすのに有効です。配送車から降りられる休憩時間には、立った状態で腰をそらしたり左右にひねったりして、腰の筋肉をほぐすのが良いでしょう。

業務時間外には、仰向けで行うストレッチもおすすめです。片膝を両手で抱えてゆっくり胸に引き寄せる動作は、腰周りの柔軟性を高めてくれます。

腰に負担をかけにくい荷物の持ち方

軽貨物ドライバーが腰痛を予防するには、荷物を持ち上げるときの姿勢を見直すことが重要です。特に、腰だけを曲げて中腰のまま荷物を持ち上げる動作は、腰に大きな負担をかけます。荷物を持つときは、できるだけ荷物に近づき、膝を曲げて腰を落とし、脚の力を使って持ち上げるようにしましょう。

荷物が体から離れるほど、腰にかかる負荷は大きくなります。そのため、持ち上げる際は荷物を体に引き寄せ、できるだけ密着させた状態で運ぶことが大切です。腕だけで支えようとせず、体全体で荷物を支える意識を持つと、腰への負担を軽減しやすくなります。

また、荷物を持ったまま腰をひねる動作にも注意が必要です。配送中は、車内から荷物を取り出したり、納品先で向きを変えたりする場面が多くありますが、腰だけをひねると筋肉や関節に強い負担がかかります。方向を変えるときは、腰だけでなく足ごと向きを変えるようにしましょう。

重い荷物や持ちにくい形状の荷物を無理に1人で運ぶことも避けるべきです。台車やカートを活用したり、荷物を小分けにしたりすることで、腰への負担を減らせます。急いでいるときほど無理な姿勢になりやすいため、荷物を持つ前に重さや持ち手の位置を確認し、安全に運べる姿勢を整えてから作業することが大切です。

腰痛を悪化させやすいNG行動

軽貨物ドライバーの腰痛は、日々の運転姿勢や荷物の扱い方によって悪化することがあります。最初は軽い違和感でも、無理な動作や休憩不足を続けると、慢性的な痛みやぎっくり腰につながる可能性があります。腰痛を予防・軽減するには、対策を取り入れるだけでなく、腰に負担をかける行動を避けることも大切です。

痛みを我慢して運転を続ける

腰に痛みを感じているにもかかわらず、無理に運転を続けるのは避けましょう。長時間同じ姿勢で座り続けると、腰まわりの筋肉が硬くなり、血流も悪くなります。その状態で運転を続けると、痛みがさらに強くなる可能性があります。

配送スケジュールが詰まっていると休憩を後回しにしがちですが、痛みを感じたら安全な場所に停車し、軽く体を動かすことが大切です。

中腰のまま荷物を持ち上げる

腰痛を悪化させやすい代表的な動作が、中腰で荷物を持ち上げることです。膝を使わず腰だけを曲げて荷物を持つと、腰に負担が集中します。

荷物を持ち上げるときは、荷物に近づいて膝を曲げ、脚の力を使って立ち上がるようにしましょう。特に重い荷物や低い位置にある荷物を扱うときは、焦らず正しい姿勢を意識することが重要です。

荷物を持ったまま体をひねる

荷物を持った状態で腰をひねる動作も、腰に大きな負担をかけます。車内から荷物を取り出すときや、納品先で方向を変えるときに、腰だけをひねって動こうとすると、筋肉や関節を痛める原因になります。

向きを変えるときは、腰だけでなく足ごと動かすようにしましょう。狭い車内で作業する場合も、無理な姿勢で荷物を引っ張り出さず、体の向きと荷物の位置を整えてから持つことが大切です。

休憩を取らずに長時間同じ姿勢を続ける

長時間座ったまま運転を続けると、腰回りの筋肉が緊張し、血流が悪くなります。これにより、腰のだるさや痛みが出やすくなります。

休憩時間が短くても、車から降りて歩いたり、腰や太ももを軽く伸ばしたりするだけで負担を軽減可能です。配送の合間に数分でも体を動かす習慣をつけることが、腰痛の悪化防止につながります。

腰痛対策グッズに頼りすぎる

腰椎クッションやコルセット、サポーターなどは腰への負担軽減に役立ちますが、それだけに頼りすぎるのは注意が必要です。姿勢や荷物の持ち方が悪いままだと、グッズを使っていても腰痛が改善しにくい場合があります。

また、コルセットを長時間使い続けると、体幹の筋肉を使う機会が減ることもあります。腰痛対策グッズは補助として活用し、正しい姿勢や休憩、ストレッチとあわせて取り入れることが大切です。

軽貨物ドライバーが腰痛になってしまった場合の対処

腰痛になってしまった場合、早期の対処が重要となります。運転中に腰痛を感じた際には、まずは安全な場所に停車し、休憩を取りましょう。足元を広く取って自由に足を動かすと、血行が促進され痛みが和らぐ可能性があります。

運転から帰宅した後は、心身の疲労回復を促すことが重要です。ゆっくりと40度前後のお風呂に浸かることで疲労回復が期待でき、腰痛の軽減につながる可能性があります。入浴後に質の高い睡眠を取ることも、血行促進に効果的とされています。

こうした対策を試しても痛みが続く場合や悪化する場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診し、専門家に相談するのが良いでしょう。症状の悪化を防ぐためには、痛みを我慢せず適切な処置を受けることが大切です。

軽貨物ドライバーの腰痛に労災は適用される?

厚生労働省は、腰痛を以下2つの種類に分け、労災と認めるための要件を定めています。

災害性の原因による腰痛

負傷などによる腰痛で、次の①、②の要件をどちらも満たすもの
①腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
②腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること

引用元:腰痛の労災認定|厚生労働省

災害性の原因によらない腰痛

突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業期間などからみて、仕事が原因で発症したと認められるもの

引用元:腰痛の労災認定|厚生労働省

軽貨物ドライバーの場合、重い荷物を持ち上げようとして急に発症する、長時間の運転を数ヶ月に渡って続ける中で発症する、といったケースは労災認定される可能性があります

業務記録を丁寧につけている、など業務をきっかけに腰痛が発症したことを証明できそうな場合は、医師の診断書を元に労災申請を検討してみてください。

グッズやストレッチを活用して腰痛を予防しよう

軽貨物ドライバーにとって、腰痛は避けて通れない課題の1つ。長時間の運転や荷物の積み下ろしは腰に大きな負担をかけ、腰痛の原因となります。しかし、今回ご紹介した対策を日頃から実践して腰痛を予防・軽減すれば、健康的に長く働くことが可能です。

腰痛は悪化する前に予防・対処することが何よりも大切です。自身の体の状態に常に気を配り、自分に合った対策を取り入れ、安全で快適なドライバーライフを送りましょう。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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