軽貨物ドライバーとして個人で仕事を請け負う場合に欠かせないのが、収入や経費を管理するための帳簿付けです。帳簿を正しく管理していないと、確定申告の際に必要な書類が揃わなかったり、追徴課税を支払うことになったりするリスクがあります。
本記事では、軽貨物ドライバーに必要な帳簿の基礎知識や付け方のポイントをわかりやすく解説します。
目次
帳簿とは?
帳簿とは、事業で発生した収入や支出、資産や負債などを記録するための「台帳」のことです。日々の売上や経費などを整理することで、正しい利益を把握できます。
帳簿は確定申告の際に必要なだけでなく、節税や経営の見直しにも役立ちます。そのため、個人事業主として働く軽貨物ドライバーが帳簿の付け方を知っておくことは、安定して事業を行うための大切な要素といえるでしょう。
軽貨物ドライバーに必要な「経理の知識」とは?

軽貨物ドライバーとして働くうえで、収入や支出を管理する経理の知識は必須です。日々の記録や必要書類の準備を怠ると、確定申告の際に余計な手間が生じる恐れもあります。
ここでは、軽貨物ドライバーが身につけておきたい主な知識について解説します。
帳簿への記帳
軽貨物ドライバーにとって経理の基本となるのが、各種帳簿の記帳です。
主な帳簿には、売上をまとめる「売上帳」、経費を整理する「経費帳」、現金や預金の動きを記録する「現金出納帳」などがあります。
日々の取引を帳簿に記録しておくことは、収支状況の正確な把握にもつながります。
確定申告に必要な書類の準備
確定申告に必要な書類の準備も、軽貨物ドライバーにとって欠かせない知識のひとつです。
申告を行う際には、報酬明細や振込明細、ガソリン代、高速料金、整備費用の領収書など、売上や経費を証明する書類を揃える必要があります。さらに、社会保険料や生命保険料控除の証明書、国民年金の控除証明書なども不可欠です。
これらの書類を日頃から整理しておけば、経理処理や確定申告を円滑に進めることができます。
軽貨物ドライバーに確定申告は必要?

軽貨物ドライバーとして事業を行う場合、確定申告が必要かどうかは所得や働き方によって変わります。
ここでは、確定申告の必要性に関する重要なポイントを見ていきましょう。
確定申告の種類
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
白色申告は比較的簡単に提出できる反面、控除額が少なく節税効果は限定的です。
一方、青色申告は複式簿記による帳簿付けが必要ですが、最大65万円の特別控除が受けられるほか、赤字を翌年以降に繰り越すことも可能です。
どちらを選ぶかによって手続きやメリットが大きく異なるため、事業規模や状況に合わせた選択が重要になります。
確定申告が必要となるケース
軽貨物ドライバーを含む個人事業主は、所得の金額によって確定申告が必要かどうかが決まります。事業所得が年間48万円を超える場合は申告が必要となり、青色申告や白色申告を選んで納税手続きを行います。
また、会社員として給与を得ながら副業で軽貨物配送をしている人も、20万円を超える副業収入がある場合には申告が義務付けられます。条件を満たしているのに申告を怠ると、延滞税や加算税の対象となるため注意が必要です。
確定申告をしない場合のリスク
確定申告を怠ると、さまざまなリスクが発生します。まず、税務署から指摘を受けた場合は無申告加算税や延滞税が課され、本来よりも多くの税金を負担することになります。さらに、悪質と判断されれば重加算税の対象となる恐れもあります。
青色申告を利用している場合は、承認が取り消され節税メリットを失うリスクも。このように、確定申告をしない場合、事業の継続に大きな支障をきたす可能性があるのです。
軽貨物ドライバーの帳簿の付け方
軽貨物ドライバーとして確定申告を行う場合、帳簿付けは外せない作業です。
ここでは、チェックしておきたい2つのポイントを中心に見ていきましょう。
確定申告に帳簿は必要?
軽貨物ドライバーが確定申告を行う際には、収入や経費を正しく記録した帳簿が必要です。白色申告の場合は収入と支出をまとめた簡易的な記録で足りますが、青色申告では複式簿記による詳細な帳簿付けが求められます。
複式簿記とは、取引を「借方」と「貸方」に分けて記録し、資産や負債、収益や費用の増減を正確に把握する会計手法のことです。青色申告では、複式簿記による帳簿を利用することで、最大65万円の特別控除や赤字の繰越といった大きなメリットを得られます。
帳簿を付ける方法
軽貨物ドライバーの帳簿の付け方は、取引をどの程度詳しく記録するかによって異なります。
白色申告の場合は、売上や経費を日ごとにまとめて整理し、収入と支出の流れが分かるように記録しておけば十分です。帳簿用のノートやExcelを活用すれば、初心者でも比較的簡単に行うことができます。
一方、青色申告の場合は、より詳細な記録が求められるため、仕訳帳や総勘定元帳を作成して取引ごとに仕訳する作業が必要です。会計ソフトを使えば仕訳や集計を自動で行えるため、複雑な管理も効率よく進められます。
軽貨物ドライバーが経費として計上できるものとは?

軽貨物ドライバーが事業を行ううえで発生する費用の中には、経費として計上できるものが数多くあります。
ここでは、計上可能とされている主な経費をご紹介します。
車両に関わる費用
軽貨物ドライバーにとって最も大きな経費となるのが車両関連の支出です。代表的なものとして、ガソリン代、高速道路の通行料金、コインパーキングなどの駐車料金などが挙げられます。
さらに、定期的な車検やオイル交換、タイヤ交換などの整備費用、自動車税や自賠責保険・任意保険の保険料も経費として計上可能です。
なお、車両を購入した場合には一度に全額を経費にできず、耐用年数に応じて減価償却という形で分割して計上する必要があります。
その他の費用
軽貨物ドライバーが経費として計上できるのは、車両関連の費用だけではありません。業務に必要な携帯電話の通信費やインターネット料金、事務処理に使う文房具やプリンター用紙といった消耗品費も対象となります。
また、確定申告に使用する会計ソフトの利用料や税理士への相談料も経費に含めることができます。さらに、作業着や安全靴などの業務用衣類、自宅を事務所として兼用している場合は、光熱費や家賃の一部も配分して経費にすることが可能です。
軽貨物ドライバーが経費にできない支出とは?

軽貨物ドライバーは、日々の仕事で発生するさまざまなコストを経費として計上できますが、だからといってすべての支出が経費になるわけではありません。
たとえば、食費や家族の生活費などの私的な出費は計上不可とされています。交通違反の罰金や延滞税、課徴金といった制裁的な支払いも対象外です。
携帯電話や自家用車のガソリン代など、事業と私用が混在するものは、業務に使った割合のみが経費として認められます。
スムーズな申告を行うためにも、公私の線引きを明確にしておくことが重要です。
正しい帳簿の付け方を理解しておこう
個人事業主の軽貨物ドライバーとして働くためには、日々の収入や経費を整理する帳簿付けが必要です。帳簿は確定申告の基礎資料となるだけでなく、節税や経営状況の把握にも役立ちます。
白色申告と青色申告で求められる記録方法は異なるため、自身の申告方法に合う知識を身につけておくことが大切です。帳簿の付け方を理解し、しっかりとした経理を行うことが、事業を成功へ導く鍵となります。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。