個人事業主として活動する軽貨物ドライバーは業務中に発生する経費を自身で負担しなければならず、どれだけ経費を削減できるかが収入に大きく影響します。
軽貨物ドライバーが負担する経費の中でも特に大きな割合を占めているのが、ガソリン代です。ガソリン代を削減するためには、軽貨物車の燃費をできる限り抑えることが欠かせません。
今回のコラムでは、軽貨物車の燃費を抑える方法を解説していきます。軽貨物ドライバーの多くが使用している軽バンについては、燃費の良いおすすめの車種をランキング形式で紹介しますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
軽貨物運送業で使用できる車種

軽貨物運送業で使用できる車種として、以下が挙げられます。
- 軽バン
- 軽トラック・幌車
- 冷蔵冷凍車
最も一般的に利用されているのが、小回りが利きコストパフォーマンスが高い軽バンです。しかし、荷台が広くたくさん荷物を載せられる軽トラックや幌車、生鮮食品のように温度管理が必要な荷物の配送に用いる冷蔵冷凍車が使用されるケースも多くあります。
軽貨物車の燃費の平均は?
燃費とは、ガソリン1Lで車が走行できる距離を数値で表したものです。性能や車種によって変動しますが、一般的な家庭用の軽自動車および軽貨物車の燃費の平均は以下の通りだとされています。
軽自動車 | 20km/L前後 |
---|---|
軽バン | 20km/L前後 |
軽トラック | 15km/L前後 |
冷凍冷蔵車は荷室の冷却に走行用のエンジンを使用することに加え、冷凍装置や断熱材を搭載しており車両の総重量も重いです。そのため、どうしても他の車両に比べて燃費は悪くなる傾向にあります。
軽貨物ドライバーが燃費を抑える重要性
ガソリン代は「走行距離(km)÷車の燃費(km/L)×ガソリン価格(円/L)」という計算式で算出できます。例えば、走行距離が2,000kmでガソリン価格が150円/Lであった場合、燃費が15km/Lだとガソリン代は20,000円、燃費が20km/Lだと15,000円です。
フルタイムで稼働する軽貨物ドライバーの走行距離が毎月約2,000kmと言われていることを踏まえると、燃費が5km/L違うだけで1ヶ月のガソリン代は5,000円変わることになります。
軽貨物ドライバーにとって、燃費を抑えることはガソリン代、経費負担を節約する上で非常に重要であることがわかります。
軽貨物車の燃費を抑える7つの方法

軽貨物車の燃費を抑える方法として、以下の7つが挙げられます。
Point
・燃費の良い車両で配送する
・急発進・急加速・急停止は避ける
・アイドリング時間を減らす
・アイドリングストップを使わない
・エアコンの使用を控える
・載せる荷物は最低限に抑える
・こまめにメンテナンスを実施する
燃費の良い車両で配送する
軽貨物車の燃費は車種や性能によって大きく変わってきます。軽バンの燃費の平均は20km/L前後だとお伝えしましたが、実際はかなり幅があります。
同じ距離を運転するのであれば、もちろん燃費の良い車種を選ぶ方が燃費を抑えられますが、低燃費の車種ほど車体価格が高いケースが一般的です。
ただ、軽貨物ドライバーとして長期的に活動することを見据えている方は、低燃費の車種を選ぶ方が月々のガソリン代を節約でき、結果として費用負担の総額を抑えられるでしょう。
軽貨物ドライバーにおすすめしたい、燃費が良いおすすめの車種については、記事の後半で詳しく解説していきます。
急発進・急加速・急停止は避ける
時間に追われながら配送業務にあたっていると、急発進や急加速、急停止をする機会が多くなりやすいです。こうした「急」のつく運転を繰り返すとエンジンに大きな負荷がかかり、燃費はどんどん悪くなってしまいます。
- アクセルやブレーキをゆっくりと踏み込む
- 車間距離を十分にとる
- 無駄な追い越しをしない
上記のように丁寧な運転を心掛けると良いでしょう。
アイドリング時間を減らす
アイドリング時間の削減も、燃費の悪化を防ぐことに繋がります。
軽貨物ドライバーとして稼働していると、荷物を積み下ろす、時間調整のために車内で待機する、休憩を取るといった長時間停止する場面が多くなりがちです。こうした停車時間にエンジンを切ることで、無駄な燃料の減りを抑えることができます。
ただし、真夏や真冬にエンジンを切って空調が効かない状態で長時間停止するのは、ドライバ―の体調に悪影響が生じるリスクがあるためおすすめできません。無理のない範囲で、エンジンを切って停車する時間を増やしてみてください。
アイドリングストップを使わない
アイドリングストップ機能は燃費が向上するとして近年広く普及してきており、配送用の軽バンへの搭載も進んでいます。しかし、こまめに発進と停止を繰り返す軽貨物ドライバーがアイドリングストップを使用すると、かえって燃費が悪くなってしまいます。
アイドリングストップのオン、オフは運転席にあるキャンセルボタンで切り替えられますので、基本的にはオフに設定しておくのが良いでしょう。
エアコンの使用を控える
車のエアコンはエンジンを動力としており、使用すると燃費効率は落ちてしまいます。エアコンを使用しながら運転すると、使用せずに運転する場合に比べて約12%燃費が悪くなると言われています。
なお、寒い時期に重宝するシートヒーターはバッテリーに蓄えられている電気を使用しているため、燃費への影響は限定的です。走り始めはシートヒーターを使い、エンジンが暖まった頃にエアコンに切り替えるというのも、燃費を良くする方法の1つだと言えます。
載せる荷物は最低限に抑える
荷物や人が乗って車両全体の重さが増えると、発進する際に必要なエネルギーが大きくなり燃費が悪化してしまいます。車内に載せる荷物の量を調整することは難しいため、業務に必要な備品や荷物以外は載せないようにするのが良いでしょう。
こまめにメンテナンスを実施する
配送車のメンテナンスをこまめに実施し、燃費良く走行できる状態を整えておくのも大切です。燃費に直接影響するエンジンの調子を良好に保つため、オイルやフィルター、プラグの交換は定期的に行うようにしてください。
タイヤの空気圧もこまめにチェックしたいポイントの1つ。タイヤの空気圧が低下するとタイヤと地面の接地面が増えて抵抗が大きくなり、燃費の悪化に繋がるためです。
燃費の良い軽バンは?おすすめ車種ランキング
ここからは、軽貨物ドライバーとして活動することを検討している方におすすめしたい、燃費の良い軽バンの車種をランキング形式で紹介していきます。
1位:スズキ エブリイ

※引用:スズキ株式会社
燃費 | 14.6~17.2km/L |
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新車価格 | 991,100円~ |
荷室のサイズ | 1,820×1,280×1,240mm |
※型式・グレードなどによって異なります。
スズキ エブリイは軽バンの中で国内最大のシェアを誇り、低燃費性能と加速性能を両立させている点が大きな特徴です。多くの荷物を積載している状態でも滑らかな加速を実現しています。
- 誤発進抑制機能
- 車線逸脱警報機能
- 先行車発進お知らせ機能
- 衝突被害軽減ブレーキ(レーダーブレーキサポート)
上記の通り安全装置が充実しているのも魅力の1つです。価格もかなりリーズナブルであり、非常に実用性の高い車種だと言えるでしょう。
2位:ダイハツ アトレー

※引用:ダイハツ工業株式会社
燃費 | 14.7km/L |
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新車価格 | 1,639,000円~ |
荷室のサイズ | 1,820×1,410×1,215mm |
※型式・グレードなどによって異なります。
ダイハツ アトレーの最大の特徴として、幅広い荷室が挙げられます。他の車種と数字で比較してもあまりピンと来ないように感じる方も多いかもしれませんが、実際に見るとかなり違いを実感できるでしょう。
普段使いを想定した高いデザイン性も特徴的。業務用だけでなく、アウトドアのようなレジャーに使用する方も多い車種です。
3位:ダイハツ ハイゼットカーゴ

※引用:ダイハツ工業株式会社
燃費 | 14.7~15.6km/L |
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新車価格 | 1,045,000円~ |
荷室のサイズ | 1,755×1,350×1,210mm |
※型式・グレードなどによって異なります。
軽バンの中では比較的購入しやすい価格設定のハイゼットカーゴも、低燃費を大きな強みの1つとしている車種です。
荷室の広さは軽バンの中でも屈指。リヤシートや助手席を前倒しして簡単に荷室スペースを広げられるのも嬉しいポイントだと言えます。開口部が広く、荷物の積み下ろしがしやすいのも魅力です。
4位:ホンダ N-VAN

※引用:本田技研工業株式会社
燃費 | 17.0~19.8km/L |
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新車価格 | 1,337,600円~ |
荷室のサイズ | 1,510×1,235×1,365mm |
※型式・グレードなどによって異なります。
可愛らしいデザインが特徴のN-VANは高効率エンジンを採用し、車体を軽量化することで低燃費を実現しています。助手席と後部座席の間に柱がないピラーレス仕様となっており、荷物の積み下ろしがしやすいのが大きな特徴だと言えます。
ピラーレス構造の車両は安全性が不安視されることが多いです。しかし、N-VANは助手席とスライドのドアにピラー(柱)の機能が内蔵されており、ドアを閉めた状態ではピラー構造の車種と同等の安全性能を確保しています。
5位:スズキ スペーシアベース

※引用:スズキ株式会社
燃費 | 19.9~21.2km/L |
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新車価格 | 1,471,800円~ |
荷室のサイズ | 1,205×1,245×1,220mm |
スズキ スペーシアベースの荷室は他の車種に比べるとやや狭めですが、地上高が低く荷物の積み下ろしがしやすい点が特徴的です。685×1,130mmのマルチボードと呼ばれる棚板が標準装備されており、車内空間を自由にアレンジできるのも魅力の1つ。
デュアルカメラブレーキサポートや誤発進抑制機能、サイドエアバッグが標準装備されているなど安全性能も高く、商用車と乗用車のいいとこ取りをした車種だと言えます。
日々の積み重ねで燃費を抑えよう
軽貨物ドライバーにとって、燃費を抑えることは毎月のガソリン代を節約して収入を増やす上で非常に重要です。今回ご紹介したポイントを踏まえ、燃費の良い運転を心掛けてみましょう。
軽貨物車の新規導入を検討する際には、燃費を1つの基準として複数の車種を比較してみることをおすすめします。本体価格が高くても、月々のガソリン代が抑えられて費用負担の総額が少なくなるケースもあるためです。
本記事に掲載したおすすめ車種ランキングを参考にしながら、お得に利用できる配送車を選んでみてください。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。