運送会社においてドライブレコーダー(ドラレコ)のチェックは、事故防止や安全管理を支える重要な取り組みです。一方、「何を確認すべきか分からない」「チェックが形だけになっている」と感じるケースも増えています。

本記事では、運送会社がドラレコチェックを行う目的や具体的な確認ポイントに加え、導入・運用によって得られるメリット、注意すべき点までを分かりやすく解説します。

運送会社でドラレコチェックを行うメリット

運送会社においてドラレコチェックは、単なる事故対応の手段にとどまらず、日々の安全管理や業務運営を支える重要な取り組みです。ここでは、運送会社がドラレコチェックを行うことで得られる主なメリットを紹介します。

事故発生時の事実関係を映像で確認できる

事故が発生した際、ドラレコ映像は当時の状況を客観的に確認できる有効な記録となります。口頭での説明や記憶だけに頼る場合と異なり、走行速度や周囲の車両、信号の状況などを正確に把握できるため、事実関係の整理がスムーズに進みやすいです。

過失割合の判断や保険会社とのやり取りも進めやすくなり、不要なトラブルや誤解を防ぐことにつながります。また、ドライバーを不当な責任追及から守る役割を担ってくれる点もメリットといえるでしょう。

安全指導と事故の再発防止

日常的なドラレコチェックは安全運転指導にも有効です。映像を確認することで、運転中の癖や判断の特徴が分かり、改善点を具体的に伝えられます。口頭でのあいまいな注意ではなく、実際の映像をもとに伝えられるため、ドライバー自身も課題を理解しやすいというメリットがあります。

事故には至らなかったものの危険を感じた場面を指す「ヒヤリハット事例」を映像で共有すれば、本人だけでなく社内全体の安全意識向上にもつなげることが可能です。ドラレコチェックを通じて事故やトラブルの再発防止を図れる点は、運送会社にとって大きなメリットといえるでしょう。

運送会社のドラレコチェックは義務?

ドラレコの導入が進む一方で、「設置やチェックは法的に義務なのか」「どこまで管理すべきなのか」と疑問を持つ企業も少なくないでしょう。本章では、運送会社が知っておくべきドラレコの法的な位置づけと、運用時に注意すべきポイントについて解説します。

ドラレコ設置に関する法的な位置づけ

現状、運送会社に対してドラレコの設置を直接義務づける法律はありません。ただし、道路運送法や貨物自動車運送事業法では、事業者に対し安全運行を確保するための管理責任が求められています。

そのため、事故防止や事実確認の手段としてドラレコを活用しているかどうかは、事故発生時や行政による監査の際に、安全管理が適切に行われているかを判断する材料の一つとして確認されるケースがあります。

ドラレコの設置は義務ではないものの、実務上は重要な位置づけにあるといえるでしょう。

個人情報やプライバシーへの配慮

ドラレコの映像には、ドライバーの運転状況だけでなく音声や車内外の様子も記録されるため、個人情報やプライバシーへの配慮が欠かせません。運用にあたっては、利用目的を明確にし、就業規則や社内ルールとして周知することが重要です。

具体的には、映像の閲覧者や保存期間を限定し、不必要な利用や外部流出を防ぐ管理体制を整えなければなりません。適切な配慮を行うことが、安心して活用できる環境づくりにつながります。

運送会社が押さえておきたいドラレコチェック項目

ドラレコチェックは、ただ映像を保存するだけでなく、目的に応じて確認ポイントを整理することが大切です。

日々の運行で確認しておきたいポイント

日々の運行におけるドラレコチェックでは、事故につながりやすい運転操作がないかを確認することが重要です。具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 急加速をしていないか
  • 急減速をしていないか
  • 急ハンドルをきっていないか
  • 車間距離を適切に空けているか
  • 一時停止を守っているか
  • 信号を順守しているか

こうしたポイントを継続的にチェックすることが、危険運転の早期発見や事故の防止につながります。

トラブル発生時に確認しておきたいポイント

事故やクレームなどのトラブルが発生した場合は、ドラレコの映像をもとに状況を正確に確認することが大切です。具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。

  • トラブル発生前後の走行状況や運転操作
  • 信号や標識の有無、周囲の車両や歩行者の動き
  • ドライバーの回避行動や対応の適切さ

これらを整理することで、当時の状況を客観的に確認でき、社内での対応や保険会社とのやり取りをスムーズに進められます。

ドラレコチェックを活かした安全教育

ドラレコチェックは、事故防止や事実確認だけでなく、安全教育や社内指導にも幅広く活用できます。

実際の映像をもとにした教育・指導

ドラレコ映像を活用した安全教育では、事実に基づいた客観的な指導が可能です。実際の運転状況を映像で確認しながら説明することで、指導内容に説得力が生まれます。

また、運転の様子を映像として共有することで、どんな行動が危険につながるのかを具体的に伝えられる点も、ドラレコチェックを活かした安全教育や社内指導の特徴です。

感情や印象に左右されないコミュニケーションを心がけることで、ドライバーとの信頼関係を保ちながら、安全意識の定着を図れます

評価や人事への反映は慎重に行う

ドラレコチェックをドライバーの評価に反映する際には、慎重な判断が求められます。一部の場面だけの映像をもとに評価を行うことは、ドライバーに過度なプレッシャーを与え、萎縮や不信感につながる恐れがあります。

あくまでも安全意識の向上や改善点の共有を目的とし、処分や減点の材料として一方的に用いることは避ける方がよいでしょう。教育と評価は切り分けて運用を行うことが大切です。

ドラレコチェックの経営面でのメリット

ドラレコチェックを徹底することは、事故の削減やトラブル防止につながり、結果として修理費や保険料の削減を実現できるでしょう。安全管理体制が整っていることは、荷主や取引先からの信頼向上にも直結します。

さらに、ドライバーの安全意識向上に役立つだけでなく、指導内容を明確にすることでコミュニケーションがスムーズになり、職場環境の改善や定着率の向上といった効果も期待できます。

ドラレコチェックは安全管理と職場環境の向上に不可欠

ドラレコチェックは、運送会社の安全管理体制を支える重要な取り組みです。日常的に確認を行い適切に活用することで、事故の防止やトラブル対応の精度が高まり、社内外からの信頼向上につながります。

映像をもとにした客観的な指導は、ドライバーの理解と納得を得やすく、職場内のコミュニケーション改善にも効果的です。安全管理と働きやすい環境づくりを両立するためにも、ぜひドラレコチェックを活用してみてください。

この記事の執筆者

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軽カモツネット編集部

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