中継輸送とは、長距離の輸送を1人のドライバーがすべて担当するのではなく、途中で別のドライバーへ引き継いで運ぶ方法です。中継地点でドライバーを交代するほか、貨物やトレーラーを引き継ぐ方法もあります。
長距離輸送を複数のドライバーで分担することで、1人あたりの運転時間や拘束時間を抑えやすくなり、日帰りで稼働できる運行も組みやすくなります。トラックドライバーの労働時間規制や人手不足への対応策として、国も中継輸送の普及を進めています。本記事では、中継輸送の仕組みや3つの代表的な方式、メリット・課題を解説します。
目次
中継輸送とは

中継輸送は、長距離・長時間に及ぶ輸送を複数のドライバーで分担する輸送方法です。出発地から目的地までの途中に中継地点を設け、そこでドライバーや貨物などを引き継ぎます。
1人で長距離を走り切らずに区間ごとに担当する
例えば、大阪から東京までの荷物を運ぶ場合、1人のドライバーが大阪から東京まで往復するのではなく、大阪側と東京側のドライバーが中間地点まで走り、そこで輸送を引き継ぐ場合があります。これが中継輸送です。
大阪側のドライバーは中継地点から大阪へ戻り、東京側のドライバーも荷物を引き継いだあと東京方面へ戻るように運行を組めば、それぞれが長距離の全区間を走る必要がなくなります。
引き継ぐものによって方式が変わる
中継地点で必ず荷物を積み替えるわけではありません。車両はそのままでドライバーだけ交代する方法や、トレーラーを別のトラクターへつなぎ替える方法もあります。どの方式を採用するかによって、中継地点に必要な設備、引き継ぎにかかる時間、ドライバーや車両の運用方法が変わります。
中継輸送が注目されている理由
中継輸送が重視されている背景には、長距離トラックドライバーの労働時間を抑えながら、必要な輸送力を維持できるという課題があります。ここでは、中継輸送が注目されている理由について詳しく解説します。
トラックドライバーの労働時間規制が強化された
2024年4月から、自動車運転業務にも時間外労働の上限規制が適用されました。特別条項付き36協定を締結した場合でも、時間外労働は年960時間が上限です。
トラック運転者には、拘束時間や休息期間などを定める改善基準告示も適用されています。2024年4月からは、1年間の拘束時間が原則3,300時間以内、1か月では原則284時間以内となっています。
これまで長時間の運行によって成り立っていた輸送では、同じドライバーが長距離の全区間を担当する方法を見直さなければいけません。そこで、運行を複数人に分ける中継輸送が対策の1つになっているのです。
長距離輸送でも日帰り勤務を組みやすくなる
長距離輸送では、運行距離によって車中泊や宿泊を伴う勤務になることがあります。中継輸送では1人が担当する区間を短くできるため、営業所から中継地点まで走って荷物や車両を引き継ぎ、その日のうちに営業所へ戻る働き方が可能です。
国土交通省も、中継輸送を、日帰り勤務の実現によるドライバーの負担軽減や人手不足対策につながる方法として位置づけています。
国も中継輸送の拡大を進めている
2026年5月には、中継輸送の推進を盛り込んだ「物資の流通の効率化に関する法律」の改正法が成立しました。
中継輸送に関わる事業者が共同で計画を作成する制度や、多くのトラック事業者が利用できる中継輸送施設の整備を支援する仕組みなどが盛り込まれています。中継輸送は個々の運送会社だけの取り組みではなく、物流を維持するための施策として整備が進められています。
中継輸送には3つの代表的な方式がある

国土交通省の手引きでは、中継輸送の代表的な方法として「ドライバー交替方式」「貨物積替え方式」「トレーラー・トラクター方式」が示されています。どれも長距離輸送を複数のドライバーで分担する点は同じですが、中継地点で何を引き継ぐかが異なります。
出典:中継輸送の取組事例集~成功事例に学ぶ中継輸送成功の秘訣~|国土交通省
ドライバー交替方式
中継地点でドライバーだけを交代し、車両と荷物はそのまま目的地へ向かう方式です。荷物を別の車へ積み替える必要がないため、中継地点での作業を短時間で済ませやすいという特徴があり、トラック単体でも実施できます。
異なる運送会社の間で行う場合は、別の事業者が所有・管理する車両を運転することになるため、車両管理や安全管理に必要な対応を決めておかなければいけません。
貨物積替え方式
中継地点で、一方のトラックからもう一方のトラックへ貨物を積み替える方式です。ドライバーは車両を乗り換えず、それぞれ自分が運転してきた車両で出発地側へ戻ることができます。
貨物を実際に移動させるため、ほかの方式より中継時の荷役作業が多くなります。荷物によってはフォークリフトなどの荷役設備や作業スペースも必要です。
トレーラー・トラクター方式
トレーラーとトラクターを分離できる車両で行う方式です。中継地点で貨物を積んだトレーラーを相手側のトラクターにつなぎ替え、それぞれのドライバーが来た方向へ戻ります。
荷物そのものを積み替える必要がないため、貨物積替え方式より中継作業を短くできます。トレーラーをけん引するため、運転には必要な免許や車両への対応が求められます。
中継輸送のメリット
中継輸送の目的は、単に1回の運行を途中で分けることではありません。長距離輸送を維持しながら、ドライバーの働き方や車両の運用を改善できることにメリットがあります。
ドライバーの拘束時間を抑えやすい
長距離の全区間を1人で担当せず、一定の区間で引き返せるため、1回の勤務で拘束される時間を短縮しやすくなります。車中泊や連泊を伴う運行を日帰りへ変更できれば、ドライバーの身体的な負担だけでなく、長期間自宅を離れる負担も軽減できます。
長距離輸送を維持しやすくなる
労働時間を短くするために長距離便そのものを減らせば、運べる荷物の量にも影響します。中継輸送では、1つの長距離輸送を複数人で担当することで、1人あたりの負担を抑えながら荷物を目的地まで運べます。労働時間規制に対応しながら輸送力を確保する方法として、中継輸送が重視されている理由の1つです。
帰り便の車両を活用しやすくなる
中継地点で双方のドライバーが引き返す運行では、帰路にも貨物を積むことで、空車で走る区間を減らせる場合があります。往路と復路の両方で荷物を運べれば、車両をより効率的に使えます。
中継輸送を導入する際の課題
中継輸送は、長距離運行を単純に二つに分ければ成立するものではありません。中継地点や運行時刻、車両、荷物の引き渡し方法などを事前に決める必要があります。
中継地点を確保する必要がある
トラック同士が安全に停車し、ドライバーの交代や貨物の積み替えができる場所が必要です。貨物積替え方式では、トラックを停車させるスペースだけでなく、荷役作業を行う場所や設備も必要になります。中継輸送を広げるうえでは、複数の事業者が利用できる中継施設の整備も課題になっています。
双方の到着時刻を合わせる必要がある
中継地点では、荷物や車両を引き継ぐ相手が到着しなければ次の区間へ出発できません。渋滞や悪天候などで一方のトラックが遅れると、もう一方にも待ち時間が発生します。そのため、運行計画だけでなく、遅延した場合の連絡方法や対応も決めておく必要があります。
事業者間で運用ルールを合わせる必要がある
複数の運送会社で中継輸送を行う場合は、車両や貨物をどの状態で引き渡すか、安全確認を誰が行うかなどを共有しておかなければなりません。
特にドライバー交替方式では、他社の車両を運転する場合があります。車両の日常点検や運転者への情報共有など、中継前後で必要な安全管理を明確にしておくことが重要です。
中継輸送と共同輸配送の違い

中継輸送と似た物流効率化の方法に「共同輸配送」がありますが、目的と仕組みは異なります。ここでは、中継輸送と共同輸配送の違いを紹介します。
中継輸送は1つの長距離輸送を複数人で分担する
中継輸送では、出発地から目的地まで運ぶ1つの輸送を、途中で複数のドライバーに分けます。誰がどの区間を運転するかを分担し、長距離運行に伴う拘束時間を減らすことが主な目的です。
共同輸配送は複数の荷物をまとめて運ぶ
共同輸配送は、複数の荷主や物流事業者の荷物をまとめ、同じ車両や配送網を使って運ぶ方法です。積載率を高めたり、同じ地域へ向かうトラックの台数を減らしたりすることが主な目的です。中継輸送が「長い運行を分ける方法」であるのに対し、共同輸配送は「別々の輸送をまとめる方法」といえるでしょう。
中継輸送は軽貨物ドライバーにも関係する?
国が普及を進めている中継輸送は、主に長距離の幹線輸送を行うトラックが中心です。そのため、個人宅への宅配や地域内のルート配送などを担当する軽貨物ドライバーが、日常的に中継輸送を行うケースは多くありません。
軽貨物だから中継輸送ができないわけではない
中継輸送は「大型トラックだけが利用できる制度」というものではありません。軽貨物でも、長距離の輸送を途中で別のドライバーへ引き継ぐ運行であれば、中継輸送と同様の考え方を取り入れることはできます。
ただし、軽貨物では1台で集荷先から配送先まで直接運ぶスポット便や、一定の地域を担当する宅配・ルート配送も多いため、長距離幹線輸送ほど中継地点を設ける必要性は高くありません。
長距離の軽貨物案件では運行内容を確認する
軽貨物でも、都市間の長距離チャーター便などを扱う場合は、途中で荷物や運転を引き継ぐ案件が設定される可能性があります。
求人や業務委託案件に「中継便」「中継輸送」などの記載がある場合は、自分が担当する区間、中継地点、何を引き継ぐのかを確認すると仕事内容を把握しやすくなります。
中継輸送は長距離輸送を複数のドライバーで分担する仕組み
中継輸送は、長距離輸送の途中でドライバーや貨物などを引き継ぎ、複数のドライバーで運行を分担する方法です。代表的な方式には、ドライバー交替方式、貨物積替え方式、トレーラー・トラクター方式があります。長距離の全区間を1人で担当しないことで、拘束時間を抑え、日帰り勤務を組みやすくなる点が大きな特徴です。
一方、中継地点の確保や到着時刻の調整、安全管理など、導入する側には新しい運用も必要になります。軽貨物の仕事では中継輸送に関わらない案件も多いものの、長距離輸送を受ける場合には無関係とは限りません。求人や業務委託案件で中継輸送が採用されている場合は、担当区間と中継方法を確認し、自分が実際にどのような運行を行うのかを把握しておきましょう。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
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