運送業では、慢性的な人手不足が「当たり前」のこととして語られる場面が増えています。一見、日々の配送業務は滞りなく回っているように見えるものの、その裏側では人材確保の難しさや現場の負担増加といった課題が深刻化しています。
本記事では、運送業の実情を踏まえながら、人手不足が当たり前とされる理由や業界が抱える課題、さらに解決に向けた取り組みについて分かりやすく解説します。
運送業は人手不足が当たり前?

近年、「運送業は人手不足が当たり前」という言葉は、業界内外で広く使われるようになりました。一方で「仕事は回っている」「深刻さが伝わってこない」と感じる人がいるのも事実です。まずは、運送業の人手不足について整理していきます。
運送業の人手不足は嘘?
運送業の人手不足が問題視される一方、なかには「運送業は人手不足と言われているが、実際には仕事が回っている」「本当に足りないわけではないのではないか」といった声も聞かれます。たしかに、表面的には日々の配送が滞りなく行われているため、人手不足を実感しにくい場面もあります。
しかし、現実には現場の努力や無理な調整によって成り立っているケースが多く、人材が十分に確保されている状態とは言い切れないのが実情です。
人手は実際に不足している
実態として、運送業では慢性的な人手不足が続いています。求人を出しても応募が集まりにくく、欠員が補充されないまま仕事を回している事業者も少なくありません。
その結果、ドライバー1人あたりの業務負担が増加し、長時間労働が常態化する悪循環が生じています。運送業の人手不足は一時的な問題ではなく、業界全体を取り巻く深刻な課題となっているのです。
運送業の人手不足が「当たり前」と言われる理由は?

運送業の人手不足が「当たり前」と言われるようになった背景には、複数の要因が存在します。
長時間稼働・不規則なスケジュール
運送業では、早朝や深夜の稼働、日によって変動する配送量などにより、稼働スケジュールが不規則になりがちです。加えて、荷待ち時間や渋滞など自分では調整できない要因も多く、拘束時間が長くなりやすい傾向があります。
こうした働き方は体力的・精神的な負担が大きく、離職率を高める要因となっています。その結果、人手不足の加速につながっているのです。
報酬と業務負荷のバランス
運送業は責任の重い仕事である一方、業務量や拘束時間に対して賃金が見合っていないと感じる人も少なくありません。
長時間運転や時間指定配送、クレーム対応など負担が増える中、収入面での魅力が十分でない案件も多いことが、人材の流入を妨げる理由の1つと考えられています。
ドライバーの高齢化と若年層の担い手不足
現在の運送業界は、ベテランドライバーに支えられている側面が大きく、全体として高齢化が進んでいます。一方で、若年層の新規参入は伸び悩んでおり、今後は人材不足がさらに深刻化することが懸念されています。
運送業が職業選択の候補として挙げられづらいのは、長時間稼働や体力的負担が大きいというイメージが根強く、働き方への不安が先行しているためです。こうした世代交代の停滞も、人手不足が続く大きな要因となっています。
運送業の人手不足が「当たり前」になる影響
運送業の人手不足は、私たちの社会全体に大きな影響を与えます。
ドライバー1人あたりの業務負荷が増大する
人手不足が常態化すると、限られた人数で業務を回す必要があるため、ドライバー1人あたりの担当範囲が広がります。配送件数の増加やルートの長距離化により、拘束時間がさらに長くなるケースも少なくありません。
業務負荷の増大は疲労の蓄積や集中力の低下を招き、事故の発生確率が増すことにもつながります。このような状況がさらなる離職を生み、人手不足を一層悪化させてしまうのです。
物流品質・サービス水準が低下する
人員に余裕がない状態では、配送スケジュールに十分な余白がなく、渋滞や荷待ちなど想定外の事態が発生した場合、代替要因を手配したりルートを柔軟に組み替えたりすることが難しくなります。
その結果、配送が遅延したり、時間指定や再配達への対応が追いつかなくなったりするケースが増え、物流全体の品質やサービス水準の低下につながります。
中小運送会社の事業継続が難しくなる
中小の運送会社は、大手に比べて人手不足の影響を受けやすいといえます。新たな人材を確保できず、現役ドライバーへの負担が増すことで、業務の継続自体が困難になる事例も珍しくありません。
ドライバー不足により受注量を減らさざるを得なかったり、廃業や他社との統合を選択したりと、苦渋の決断を下す事業者も増えているのが実情です。
運送業の人手不足を解消する方法とは?

運送業の人手不足を解消するためには、長く働き続けられる環境を整えることが大切です。
ここでは、運送業界で実践されている主な解消方法を紹介します。
稼働条件の改善
運送業の人手不足を解消するには、稼働条件の見直しが欠かせません。長時間稼働の是正や適正な報酬体系の構築など、働き続けやすい条件を整えることが重要です。
待遇面の改善は、現役ドライバーの定着率向上につながるだけでなく、新たな人材の応募を促すきっかけにもなります。持続的な人材確保には、稼働条件の改善が必要不可欠といえるでしょう。
稼働環境の整備
稼働環境を整えることも、人材不足の対策として効果的です。休憩施設の充実や安全設備の導入、無理のない運行計画の策定は、ドライバーの負担軽減に直結します。
働きやすい職場づくりは定着率の向上や離職防止につながり、安心して働ける環境を整えることで継続的に人材を確保しやすくなります。
DX・省人化の導入
近年では、配車管理や運行管理にITツールを活用する企業も増えています。DXや省人化の導入によって事務作業の削減や無駄な待機時間の短縮が可能となり、現場の負担が軽減されつつあります。
限られた人員でも業務を回しやすくなることから、人手不足を補う手段としても注目されています。
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多様な人材活用
女性ドライバーやシニア層、外国人材など、それぞれの特性に応じた働き方を整えることで、担い手の裾野を広げることができます。さらに、柔軟な勤務体系や教育体制を充実させることで、さまざまな背景を持つ人が活躍できる環境が生まれ、人手不足の解消にもつながります。
人手不足を「当たり前」で終わらせないために
運送業の人手不足は、長時間稼働の常態化や待遇の悪化、担い手の減少などが重なり、「当たり前」のものとして受け止められがちです。しかし、この状態を放置すれば現場の負担はさらに増え、物流サービスの低下を招くだけでなく、業界全体の持続性が損なわれかねません。
だからこそ、稼働条件や環境の見直し、業務効率化、多様な人材の活用などを進め、誰もが働き続けられる仕組みを整えることが重要です。人手不足を前提にするのではなく、改善に向けた取り組みを積み重ねる姿勢こそが、今後の運送業には求められています。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
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