近年、再配達の増加や物流業界の人手不足を背景に、宅配の受け取り方そのものが見直されつつあります。そんな中新しい配送スタイルとして検討が進められているのが、置き配の標準化です。

本記事では、置き配標準化の開始時期の目安や、今後想定されるルール変更の方向性を分かりやすく解説します。

置き配とは?

近年、インターネット通販の利用拡大により、宅配便の受け取り方法にも変化が求められるようになっています。特に注目されているのが、非対面で荷物を受け取れる置き配です。

置き配の仕組みと従来の宅配との違い

置き配とは、配達員が荷物を直接手渡しせず、事前に指定された場所へ置くことで配達を完了する受け取り方法です。玄関前や宅配ボックスなどを指定でき、不在時でも荷物を受け取れます。

従来の宅配では、配達時に受取人が在宅し、対面で受け取る必要がありましたが、置き配は非対面が基本となります。そのため、再配達の手間を減らせる点が大きな特徴です。

これまでの置き配は「選択制」だった

従来の宅配便において、置き配は利用者が個別に申し込む任意サービスであり、事前に指定していない場合、不在時は再配達となるケースが一般的でした。

しかし近年は、物流業界の人手不足や再配達の増加が社会的な課題となっており、配送の仕組みそのものが見直されてきています。

こうした状況を受け、置き配を標準化する方向へと制度転換が進められており、従来の「選択制」から「基本ルール」へと位置づけが変わりつつあるのです。

置き配の標準化はいつから始まる?

置き配の標準化については、国土交通省が宅配制度の見直しに向けた検討を本格的に進めています。現時点では、置き配を原則とする新たなルールの方向性が示されている段階であり、具体的な施行時期や運用方法はまだ決まっていません。

一方、制度改正については2026年以降を視野に議論が進められているとの報道もあり、今後宅配の受け取り方法は段階的に見直されていくと考えられています。

置き配の標準化が進められている理由とは?

置き配の標準化が進められている背景には、物流業界が直面する複数の課題があります。

2024年問題と人手不足

置き配の標準化が進められている背景には、物流業界における深刻な人手不足があります。EC需要の拡大により配送量が増える一方で、2024年4月に施行された「働き方改革関連法」により、ドライバー一人あたりが対応できる業務量は以前に比べて限られています。

特に、不在時の再配達はドライバーにとって大きな負担となっており、受取人が不在でも荷物の配送を完了できる置き配は、現場の負担を軽減する有効な手段として注目されているのです。

再配達削減による環境負荷の軽減

環境への負担を減らせることも、置き配の標準化が注目される理由のひとつです。不在時の再配達が減ることで、配送車両の走行距離を抑えられ、地球温暖化の原因となるCO₂排出量の削減につながると考えられています。

再配達は、同じ荷物を繰り返し運ぶ非効率な工程であり、環境面での負担も大きくなりがちです。置き配の標準化には、無駄な移動を減らして物流の効率化と環境対策を目指す狙いもあるとされています。

置き配が標準化されると何が変わる?

置き配が標準化されると、宅配の受け取り方や配送の仕組みは大きく変わるだろうと予想されています。置き配の標準化によって生じる変化を、利用者と宅配業者それぞれの視点から見ていきましょう。

利用者側の変化

置き配が標準化されることで、利用者は在宅時間を気にすることなく荷物を受け取れるようになり、日常の利便性は大きく向上します。一方で、非対面での受け取りが基本となるため、盗難や紛失への対策がこれまで以上に重要視されるでしょう。

宅配ボックスや配達完了を知らせる写真通知を活用するなど、安心して受け取れる環境を整えることが求められます。

宅配業者側の変化

置き配の標準化は利用者だけでなく、宅配業者の業務にも大きな影響を与えます。不在による再配達が減ることで、ドライバー一人あたりの配送効率が高まるため、人手不足の緩和が期待されます。また、燃料費や車両の運行にかかるコストを抑えやすくなり、事業全体の収支改善にもつながると考えられています。

一方で、置き配を前提としたサービス内容の見直しや利用ルールの変更、盗難や誤配が起きた場合の対応範囲を明確にするなど、新しい運用体制の整備が必須です。

置き配の安全性とトラブル対策

置き配は利便性の高いサービスですが、同時に安全面への配慮も欠かせません。

盗難や破損のリスク

置き配は便利な受け取り方法である一方で、盗難や破損といったリスクにも注意が必要です。玄関先など人目につきやすい場所では、第三者に荷物を持ち去られる可能性があります。屋根がない場所では、雨風の影響で荷物が汚れたり、破損したりするリスクも存在します。

さらに、共用通路や玄関前に荷物が置かれていると、歩行者が通行時にがつまずいて転倒するなどの事故につながる恐れも。そのため、置き配を安全に利用するためには、設置場所の工夫や配送時の配慮が重要です。

利用者ができる具体的な対策

置き配を安全に利用するためには、利用者側の工夫が欠かせません。鍵付きの宅配ボックスや置き配バッグを活用することで、盗難や雨による破損リスクを抑えられます。防犯カメラやセンサーライトの設置も、盗難の抑止効果が期待できます。

置き場所は外から見えにくい位置を指定し、配達完了の通知を受け取ったら早めに荷物を回収することも重要です。こうした対策を組み合わせることで、置き配に伴うトラブルを大幅に減らすことができます。

置き配を利用したくない場合はどうすればいい?

置き配の標準化が進む中で、「置き配を利用したくない場合はどうなるのか」と不安に感じる方も少なくないはずです。本章では、今後想定されるルール変更に備えて、利用者が意識しておきたいポイントを見ていきます。

置き配が強制されるわけではない

置き配の標準化が進んでも、すべての利用者に置き配が強制されるわけではありません。国土交通省の検討では、対面での受け取りを含め、複数の受け取り方法を選択できる仕組みを整える方向性が示されています。

ただし、具体的な運用ルールや例外対応については、現時点では明確に決まっていません。高齢者や集合住宅など、置き配が難しいケースへの配慮も今後の検討課題とされており、利用者は最新の制度内容や事業者の対応方針を確認しながら、自身に合った受け取り方法を選ぶことが重要になります。

今後のルール変更に備えてできること

置き配に関するルールは、今後の制度改正や事業者の方針によって変更される可能性があります。そのため、利用者は配送サービスの利用規約をこまめに確認し、受け取り方法の設定内容を定期的に見直すことが大切です。

また、家族が同じ住所で荷物を受け取る場合は、置き配の可否や指定場所について事前に情報を共有することで、トラブルを防ぎやすくなります。

環境や状況の変化に応じて柔軟に対応できる準備を整えることが、安心して宅配を利用するためのポイントとなるでしょう。

新しい宅配便の受け取り方に備えよう

置き配の標準化は、宅配の受け取り方が大きく変わる転換点といえます。現時点で開始時期や詳しいルールは決まっていませんが、再配達の削減や人手不足対策を背景に、今後は非対面受け取りを前提とした仕組みが広がっていくと考えられます。

利用者にとっては利便性が高まる一方、安全対策や受け取り方法の選択がより重要になります。制度の変更を正しく理解し、自分の生活スタイルに合った受け取り方に備えておくことが大切です。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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