軽貨物ドライバーにとって、効率的な配送ルートの作成は売上に直結する重要な要素です。

1回の業務で多くの配送先を回る必要がある中、無数に存在するルートからより短時間で回れるパターンを選択できれば、作業効率の向上だけでなく燃料費の削減にも繋がります。

近年はルート最適化に特化したアプリも多く登場していますが、誰でも無料で使えるグーグルマップ(Google Maps)も、配送業務における強力なサポートツールになり得ます。

今回は、グーグルマップを活用した配送ルートの作成方法について、わかりやすく解説していきます。

※本記事ではグーグルマップで配送ルートを作成する手順を紹介していますが、アプリのバージョンやご利用のデバイスによっては、記載されている手順と異なる場合があります。

軽貨物ドライバーにとってグーグルマップとは?

グーグルマップはGoogle社が提供する地図サービスで、スマートフォンやパソコンから誰でも簡単に利用することが可能です。

一般的なナビゲーション機能に加え、リアルタイムの交通情報の表示や複数の目的地を一度に設定できるルート作成機能など、配送業務に役立つ多彩な機能を備えています。そのため、個人の移動にとどまらず配送の現場でも広く活用されています。

特に、個人事業主として働く軽貨物ドライバーにとって、「無料で使える」という点は大きな魅力です。

配送ルート最適化に特化したアプリの多くは無料版では機能制限があり、実務レベルでの活用が難しいケースも少なくありません。その点、グーグルマップなら費用をかけずに効率的なルートを組むことができ、経費を抑えながら業務効率を高めることができます。

グーグルマップで配送ルートを作成するメリット

グーグルマップを配送ルート作成に活用することで、以下のようなメリットが得られます。

リアルタイムの交通情報を活用できる

軽貨物ドライバーの配送業務において、道路状況は避けて通れない重要な課題です。交通渋滞や突発的な事故・道路工事などは、配送の遅延や業務効率の低下に直結します。

グーグルマップでは渋滞や事故、通行止めといった最新の道路情報をもとにルートを自動で更新してくれるため、常に“今”の最適な経路で配送を進めることが可能です。

こうした機能を活用することで、配送時間の短縮はもちろん、無駄なアイドリングによる燃料消費の削減にも繋がり、結果として業務コストの軽減に寄与してくれるでしょう。

複数の配送先をまとめて設定できる

1日に多くの配送先を回る軽貨物ドライバーにとって、グーグルマップの経由地設定機能は非常に便利です。出発地点から最大9ヶ所の経由地(配送先)を設定でき、全体のルートをひと目で把握できます

経由地の順番をドラッグ操作で簡単に入れ替えられるため、より効率的な順路への柔軟な調整が可能です。全ての配送先を含んだルートを一括で確認できるため、土地勘のないエリアでもスムーズに配送を進められるでしょう。

視覚情報が充実している

グーグルマップでは、ストリートビューや衛星写真の機能を使って、配送先周辺の様子を事前に確認することが可能です。駐車スペースの有無や建物の入り口の位置、大型マンションの搬入口など、現地で迷いやすいポイントをあらかじめ把握しておけます

初めて訪れる場所でも迷ったり駐車トラブルに巻き込まれたりするのを避けられるため、配送がスムーズに進み、タイムロスを大幅に抑えることができるでしょう。

配送ルート作成の基本手順

では、実際にグーグルマップを使って配送ルートを作成する基本的な手順を見ていきましょう。ここではスマートフォンを使った手順を説明します。

  1. グーグルマップのアプリを起動する
  2. 出発地と最初の配送先を設定する
  3. 経由地(配送先)を追加する
  4. 配送順序を調整する
  5. 移動手段と設定を確認する
  6. ルートを確認して配送を開始する

①グーグルマップのアプリを起動する

スマートフォンでグーグルマップのアプリを起動します。アプリがインストールされていない場合は、App StoreGoogle Playから無料でダウンロードしておきましょう。

②出発地と最初の配送先を設定する

画面下部の「経路」ボタンをタップし、出発地と配送先(1ヶ所)を入力します。出発地はデフォルトでは「現在地」に設定されますが、配送センターや営業所といった別の地点から出発する場合は、その住所を直接入力します。

最初の配送先の住所は、検索バーに住所を入力するほか、音声入力機能の利用も可能です。住所が正確でない場合は、地図上で直接位置を調整することもできます。

③経由地(配送先)を追加する

画面上部の「…」をタップし、「経由地を編集」を選択します。ここで残りの配送先を順次追加していきます。

配送先は住所だけでなく、施設名や店舗名でも検索可能です。例えば「〇〇マンション」や「△△ビル」といった具体的な施設名での検索の方が、正確な位置を特定しやすい場合もあります。

④配送順序を調整する

全ての配送先を入力したら、最適な順序に並べ替えましょう。経由地一覧画面で各配送先の右側にある「≡」アイコンを長押しし、ドラッグすることで変更できます。

効率的なルートを考える際は、地理的な近さだけでなく、納品時間指定の有無も考慮することが重要です。時間指定がある配送先を優先的に回るよう調整しましょう

⑤移動手段と設定を確認する

ルートが表示されたら、画面下部の移動手段(車、自転車、徒歩など)から適切なものを選択します。軽貨物車両で配送する場合は「車」を選びます。「…」メニューから「オプション」を選択すると、高速道路や有料道路の使用有無といった詳細設定も可能です

⑥ルートを確認して配送を開始する

設定完了後、「ガイド」ボタンをタップするとナビゲーションが開始されます。音声案内機能を活用すれば、運転中でも安全に道案内を受けることができます。配送中はスマートフォンをホルダーにセットし、走行中は操作しないようにしましょう

グーグルマップを使って配送を効率化するコツ

グーグルマップを活用して配送をスムーズに進めるコツをご紹介します。

マイマップ機能を使って配送先を保存する

グーグルマイマップ(Google My Maps)と呼ばれる機能を活用すれば、配送業務をより効率的に管理できます。オリジナルのルートを作成したり、配送先をエリアや頻度ごとにグループ化して保存したりしておくと便利です

マイマップの作成方法は次の通り。

  1. ブラウザで「グーグルマイマップ」にアクセスする
  2. 「新しい地図を作成」をクリックする
  3. 地図に名前を付け、場所を追加する
  4. レイヤーを使って配送先をカテゴリ分けする

保存した地図は、スマートフォンのグーグルマップアプリからも閲覧可能です。「保存済み」タブから「マイマップ」を選択すると、作成したルートや配送先のリストを確認できます。

交通状況のレイヤーを活用する

画面右上のレイヤーアイコンから「交通状況」を選択することで、道路の混雑状況が以下のように色分けして表示され、渋滞状況をリアルタイムで確認できます

  • 緑:スムーズに流れている
  • オレンジ:やや混雑している
  • 赤:渋滞している
  • 濃い赤:激しい渋滞

出発前に交通状況を確認し、必要に応じてルートを調整すれば、より効率的な配送が可能になるでしょう。

ストリートビューで事前に配送先の環境を確認する

初めて訪れる配送先では、ストリートビュー機能を使って事前に周辺環境を確認しておくことをおすすめします。ストリートビューでは、以下のような情報を把握することが可能です。

  • 建物の外観や入口の場所
  • 駐車スペースの有無と位置
  • 周辺の目印となる建物や施設
  • 一方通行や進入禁止などの交通規制

こうした情報を前もってチェックしておくことで、現地で迷ったり入口や駐車スペースを探したりする時間を削減し、スムーズな配送を実現できるでしょう。

グーグルマップの制限と対処法

グーグルマップは便利なツールですが、配送業務に使用する際にはいくつかの制限があります。

経由地は最大9ヶ所まで

2025年8月現在、グーグルマップでは一度に設定できる経由地の数は最大9ヶ所に制限されています。ただ、軽貨物ドライバーの多くは1日に9件を超える配送を請け負う方がほとんどでしょう。

ルートを何度も分けて作成しなければならず、手間がかかってしまうのは難点だと言えます。

最適ルートの自動提案機能がない

グーグルマップには、入力した複数の配送先を自動で最適な順番に並べ替える「ルート最適化機能」は備わっていません。そのため、どの順番で回るのが最も効率的かは、ドライバー自身で判断する必要があります

特に、宅配のように1日で数十件〜100件近い配送を行う場合、経験が浅いドライバーにとってはルート構築が大きな負担となりかねません。最短ルートを自動で提案してくれる専用のルート最適化アプリを併用するといった対策が求められます。

住所や施設情報が最新でない場合がある

グーグルマップの検索精度は非常に高いものの、新しく建てられた施設や最近移転した店舗などの情報が反映されていない場合があります。特に新興住宅地では、住所を入力しても正確な位置が表示されないケースも少なくありません。

  • 建物名や近隣の目印となる施設名で再検索する
  • 配送先に電話して詳細な位置情報を確認する
  • 配送伝票に緯度・経度情報が掲載されていたら直接入力する

グーグルマップで配送先の正確な場所を特定できないケースでは、上記のように対処するのが良いでしょう。

グーグルマップを活用して配送効率アップを

グーグルマップは、無料で使える便利な配送ルート作成ツールです。リアルタイムの交通情報や詳細な地図情報を活用することで効率的なルート設計が可能となり、配送時間の短縮や燃料コストの削減にも繋がります。

特に、日々異なるエリアを回る軽貨物ドライバーにとっては、心強いサポートツールとなってくれるはずです。本記事でご紹介した機能をぜひ活用し、より効率的で働きやすい配送環境づくりに役立ててみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。