私たちの日常生活に欠かせないコンビニエンスストアへ商品を届けるコンビニ配送は、景気に左右されにくく、常に高いニーズを誇る職種の1つ。
しかし、実際にコンビニ配送の業務を経験したドライバーからは、「きつい」「やめとけ」といった声も多く聞かれます。その一方で、「楽しい」「働きやすい」などと感じている方もいるようです。
本記事では、コンビニ配送の実態や「きつい」「やめとけ」と言われる理由に加え、メリットや将来性についても詳しく解説します。コンビニ配送への就職や転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
コンビニ配送ってどんな仕事?

コンビニ配送は、倉庫や配送センターから各店舗へ食品や雑貨などの商品を届ける仕事を指します。基本的に配送先はあらかじめ担当エリア内のコンビニと決まっており、配送ルートも毎日同じです。主に取り扱う商品は以下の通り。
- 常温のおにぎり・弁当
- 冷蔵のチルド惣菜
- 冷凍食品
- 飲料ペットボトル
- 雑貨商品
配送する商品の量や種類は日によって変わりますが、荷物は台車で運べることがほとんどであり、階段の昇降や長距離の運搬を伴うことも少ないです。
コンビニ配送の仕事内容・1日の流れ
コンビニ配送の主な仕事内容は以下の通りです。
- 出社・点呼・アルコールチェック
- 配送車の点検
- 物流センター・倉庫へ移動
- 商品の検品・積み込み
- 担当店舗への納品
- 帰社・点呼・アルコールチェック
- 退社
このように、コンビニ配送の業務はルーティンワークが中心。稼働する時間帯や拘束時間は勤務する運送会社や担当エリア、納品先店舗の営業時間によって異なりますが、1日の拘束時間はおよそ8〜12時間程度が一般的です。
コンビニ配送の給与・年収はどれくらい?
コンビニのルート配送ドライバーの平均年収は約360万円前後、月収では30万円前後が目安とされています。ただし、以下のような様々な要素によって変動するため、実際はかなり大きな幅があります。
- 地域・運送会社
- 深夜手当・ボーナスなどの有無
- ドライバー個人の配送スキル
- 雇用形態
- 配送距離
特に、ボーナスの支給や深夜手当といった待遇面は運送会社によってまちまち。また経験豊富でスキルの高いベテランドライバーの中には、月収40万円以上を稼ぐ方もいるようです。
その日に配送する荷物が決められているため、成果報酬制の案件とは異なり大幅な収入アップを実現させることは難しいでしょう。しかし、地道に経験を積み重ねていくことで、着実な収入アップを狙うことは十分可能です。
コンビニ配送がきつい・やめとけと言われる理由

コンビニ配送がきつい、やめとけなどと言われる要因としては、主に以下が考えられます。
体力的な負担が大きい・休みが取りにくい
商品の積み下ろしは基本的に手作業で行うため、扱う荷物によっては体力的な負担が非常に大きくなります。
お菓子のような軽い商品であれば問題ありませんが、配送車と店舗の間を何往復もしながら飲料のペットボトルや米など重量のある商品を運ぶとなるとかなりハードです。
特に都心部では、駐車場が狭かったり、そもそも駐車スペースがない店舗も多く、店舗から離れた場所に配送車を停めなければならないケースもあります。店舗と車両の距離が長くなるほど、ドライバーの負担はさらに増してしまうでしょう。
さらに、運送会社によっては拘束時間が長い、休みが取りづらいといった厳しい稼働条件を強いられることもあり、こうした点もドライバーが「きつい」と感じる要因の1つです。
単純作業が多い
お伝えしている通り、コンビニ配送では担当エリアや店舗があらかじめ決められており、配送ルートも固定されています。
納品する商品の量や内容は日によって多少異なりますが、基本的には配送センターと店舗を往復して荷物を運ぶという、シンプルな作業の繰り返しです。
また、作業はほとんど1人で行うため、慣れてしまうと刺激が少なく、単調に感じやすいです。特にルーティンワークが苦手な人にとっては、代わり映えの少ない日々の業務に飽きやストレスを抱き、「きつい」「やめとけ」と感じやすくなるでしょう。
服装・時間厳守などのルールが厳しい
コンビニ配送では、厳格な時間管理が求められます。配送が遅れると商品の陳列が間に合わず、各店舗の売上に影響を及ぼす可能性があるためです。
1回の配送で複数の店舗を回るのが一般的であり、常に「次の納品時間」を意識しながら行動する必要があります。特に業務に慣れていない段階では、時間に追われるプレッシャーを強く感じるドライバーも少なくありません。
さらに、配送中にはコンビニ店内へ直接商品を搬入する場面もあり、来店客からは「コンビニの社員」と見られることも。そのため、コンビニのブランドイメージを損なわないように、身だしなみに関するルールが厳しく設定されている会社も多いです。
ラフな服装で働けると思っていた方にとっては、このようなルールが思わぬ負担やストレスになる可能性もあります。
天候に左右されず業務を遂行しなければならない
配送ドライバーにとって、雨や雪などの悪天候はまさに天敵です。路面が滑りやすくなり視界も悪化するため、交通事故のリスクが高まるのはもちろんのこと、店舗への納品時には荷物を濡らしたり傷つけたりしないよう、より慎重な作業が求められます。
しかし、コンビニは基本的に天候に関係なく営業を続ける業態のため、商品納品を止めるわけにはいきません。どんな天候でも決められた時間通りに配送を完了させる必要があり精神的、体力的な負担が大きくなりやすいのが実情です。
悪天候時の配送にも対応できる柔軟さや注意力が求められ、「思っていた以上にきつい」と感じる方も少なくありません。
作業中に細かな配慮が求められることもある
これまでにご紹介してきたポイントに加えて、コンビニ配送では以下のような細かな配慮も必要となります。
- 納品方法が店舗ごとに異なる場合がある
- 店内で作業する際は来店中のお客様の邪魔にならないよう注意が必要である
- 店員との関係性によってはコミュニケーションが取りづらいこともある
- 閑静な住宅街の店舗や夜間の配送では車の走行音やドアの開閉音にも配慮が求められる
このように、単に荷物を運ぶだけでなく、状況に応じた細やかな気遣いが求められる場面が多いです。時間厳守のプレッシャーに加え、こうした神経を使う業務の多さに「きつい」「やめとけ」と感じる方も少なくありません。
コンビニ配送にはメリットもある

お伝えしたような大変さもある一方で、コンビニ配送には以下のようなメリットもあります。
覚える仕事が比較的少ない
コンビニ配送の業務は「配送センターで荷物を積み込み、各店舗に届ける」という比較的シンプルな内容です。
もちろん、店舗ごとに異なる納品方法や対応ルールの把握は必要ですが、覚えること自体は少なめ。運送業の中でも比較的早く仕事に慣れやすい職種の1つと言えるでしょう。特に、ドライバー業が未経験の方にとっては入り口としておすすめの仕事です。
自分のペースで業務を進められる
「時間を守らなければならない」というプレッシャーを感じる方も少なくありませんが、一度業務に慣れてしまえば、時間厳守もそれほど負担に感じないという声も聞かれます。
宅配業務と異なり配送ルートがあらかじめ決まっており、再配達が発生しないため都度最適なルートを考える必要はありません。この点でも、業務の流れが安定していると言えるでしょう。
さらに、1人で運転・作業を行う時間がほとんどであるため、自分のペースで仕事を進めやすいのも大きなメリットです。
コンビニ配送ドライバーに向いている人の特徴

コンビニ配送の仕事は、決まったルートで商品を届ける安定した職種ですが、体力や時間管理、気配りなどが求められる場面も多くあります。ここでは、コンビニ配送ドライバーとして長く活躍できる人に共通する特徴を紹介します。
体力に自信がある人
コンビニ配送の仕事は、飲料や弁当など重量のある商品を積み下ろしする場面も多く、一定の体力が必要です。
特に、夏場や悪天候の中での配送は体力を消耗しやすいため、健康管理ができる人や日頃から体を動かす習慣がある人に向いています。
また、毎日同じルートを回ることが多い業務内容のため、コツコツと地道に作業を続けられるタイプの人が長く続けやすい傾向にあります。体力と継続力を兼ね備えている人ほど、安定して働きやすい仕事です。
時間管理やルールを守るのが得意な人
コンビニ配送では、納品時間の厳守が非常に重要です。各店舗の営業時間や販売スケジュールに合わせて商品を届ける必要があり、1分の遅れが他の店舗の配送にも影響を及ぼすことがあります。
そのため、効率的にルートを組み立て、スケジュール通りに動ける人や、時間を意識して行動できる人に適しています。また、服装やマナー、車両点検など細かなルールをしっかり守れるタイプの人も、現場で信頼を得やすいです。
一人で黙々と作業するのが好きな人
コンビニ配送は、基本的に一人で運転・積み下ろし・納品を行う仕事です。そのため、人とのコミュニケーションが少ない環境で、自分のペースで黙々と作業したい人に向いています。
もちろん、店舗スタッフとのやり取りや納品時のあいさつなど、最低限のコミュニケーションは必要ですが、営業や接客のように人と話すことが中心ではありません。「自分の空間で集中して働きたい」「ルーティンワークが苦にならない」という人にとっては、非常に快適な職場環境といえるでしょう。
安定した仕事を長く続けたい人
コンビニ配送は、景気に左右されにくく、常に一定の需要がある安定職種です。どの地域にもコンビニがあり、24時間体制で運営されているため、仕事が途切れるリスクは低いといえます。
「安定した職に就きたい」「同じ仕事を長く続けたい」と考える人にはぴったりの仕事です。また、ドライバー経験を積むことで、将来的に他の配送業務や物流業界への転職にもつながるため、キャリアの選択肢を広げやすいのも魅力です。
コンビニ配送ドライバーの働き方の種類

コンビニ配送ドライバーといっても、その働き方は1つではありません。企業や契約形態によって、収入の安定性・働く時間・自由度などが大きく異なります。ここでは、主な3つの働き方を紹介し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
正社員ドライバーとして安定的に働く
最も一般的な働き方が「正社員ドライバー」です。運送会社や物流企業の社員として雇用され、固定給と各種手当が支給されるのが特徴です。
メリットとしては、社会保険の完備や福利厚生が整っていること、安定した給与を得られることが挙げられます。また、労働時間や休日日数も法律で保護されており、長期的に安定して働きたい人に向いています。
一方でデメリットは自由度が低い点です。稼働時間や配送ルート、シフトが会社によって厳密に決められているため、「自分のペースで働きたい」という方にはやや窮屈に感じられることもあります。
しかし、コンビニ配送は需要が安定しているため、正社員として腰を据えて働くには非常に魅力的な選択といえるでしょう。
契約社員・派遣社員として経験を積む
「正社員はまだ不安」「まずは試しに働いてみたい」という方におすすめなのが、契約社員や派遣社員として働くスタイルです。一定期間の雇用契約を結び、コンビニへの配送業務を担当します。
契約社員・派遣社員のメリットは、比較的採用のハードルが低く、未経験でも始めやすいことです。また、勤務時間やエリアの希望が通りやすいケースも多く、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすいのもポイントです。
契約期間の終了とともに雇用も終了するため、長期的な安定性には欠ける面があります。しかし、実績を積めば正社員登用のチャンスもあるため、配送業界への入り口としては非常に有効な働き方といえます。
業務委託ドライバーとして自由に働く
「自分の裁量で働きたい」「高収入を目指したい」という人に人気なのが、業務委託ドライバーとして働くスタイルです。会社と雇用契約ではなく、業務委託契約を結び、個人事業主として配送業務を請け負います。
働く時間・配送ルート・仕事量を自分で選べるため、非常に自由度が高いのが特徴です。
複数の取引先から仕事を受けることで、自分のスケジュールに合わせて収入を調整できるというメリットもあります。
しかし、車両の維持費やガソリン代、保険料などはすべて自己負担となります。また、収入が出来高制になるため、閑散期には報酬が下がるリスクもあるでしょう。
そのため、業務委託として成功するには、体力と自己管理能力、そして営業力が求められます。自由度の高さと責任の重さの両方を理解したうえで、慎重に検討することが大切です。
フリーランスとして副業感覚で働く
近年では、マッチングアプリや配送プラットフォームを利用して、副業感覚でコンビニ配送を行うドライバーも増えています。本業の合間に稼働するスタイルで、空き時間に短距離配送や深夜便を受けるケースもあります。
柔軟な働き方ができる反面、収入の安定性は低く、案件数も限られるのが難点です。しかし「副業でお小遣いを稼ぎたい」「本業の合間に働きたい」という人には向いている働き方です。また、アプリやマッチングサービス経由で案件を探せるため、初期投資を抑えて始めやすいのも特徴です。
コンビニ配送ドライバーの実際の体験談
ここでは、コンビニ配送の業務を経験したドライバーからSNS上に寄せられていた実際の声を紹介します。
- あまりにもきつくて3日で辞めてしまった
- 弁当が入った番重はかなり重く、腕を広げて持ち上げて積み下ろすのが大変
- 雨・雪・台風でも商品を濡らさずに店内へ運び入れなければならないのがきつい
- 毎回店員に挨拶を無視される
- 夏は気温が高く冷蔵・冷凍の商品の温度管理が難しい
- 宅配とは違って配送した荷物の量で報酬が決まらないからなかなか収入を伸ばせない
このように、体力的な負担やコンビニ配送特有の難しさについて、ネガティブな声が多く寄せられていました。
一方で、覚えることが少なくて楽、未経験のドライバーに勧めたいといったポジティブな声も見られます。運送会社の方針や店舗の特性によって働きやすさが大きく変わる、また業務に慣れてくると余裕を持って働けるようになるといった側面もありそうです。
コンビニ配送に将来性はある?
将来性があるというのも、コンビニ配送の大きなメリットの1つ。コンビニ業界の成長率こそ鈍化しているものの、売上や店舗数が増加傾向にある企業も多いです(2025年4月時点)。
一方、運送業界では深刻な人手不足が続いており、コンビニ配送を担うドライバーの需要は今後も高まると予想されます 。
さらに、取引先が大手コンビニチェーンであることも多く、安定した働き方が期待できる職種だと言えるでしょう。
コンビニ配送に関するよくある質問

コンビニ配送の仕事に興味はあるものの、実際の勤務環境や待遇について疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。ここでは、応募前や転職検討中によく寄せられる質問に対して、わかりやすく回答します。
Q. コンビニ配送ドライバーは未経験でも始められますか?
未経験の方でも始めることができます。多くの運送会社では入社後に研修制度を設けており、積み込みや納品の流れ、運転の注意点などを丁寧に指導してくれます。
最初のうちは先輩ドライバーに同乗して業務を学べるため、運送業が初めての人でも安心して始められます。また、コンビニ配送はルート固定のため、道を覚えやすく、早い段階で独り立ちできるのも魅力です。
Q. 女性でもコンビニ配送の仕事はできますか?
もちろん可能です。実際に女性ドライバーの活躍は年々増えており、特に軽めのチルド便や雑貨配送などの部門では多くの女性が働いています。
荷物の積み下ろしは台車を使うことが多いため、体力に大きな負担がかかる場面は少なめです。また、早朝勤務や日勤など勤務時間を選べる会社もあるため、子育てや家事と両立しながら働きたい方にも向いています。
Q. 夜勤・早朝の稼働はどのくらいありますか?
コンビニ配送は、店舗の営業時間や納品サイクルによって24時間体制で稼働していることが多いです。そのため、早朝(4時〜8時)や深夜(22時〜翌5時)のシフトが組まれるケースもあります。
夜勤は体調管理が大変な反面、深夜手当がつくため収入アップを狙えるメリットもあります。昼間の時間を有効活用したい方や、夜型の生活リズムが合う方にとっては働きやすい環境といえるでしょう。
Q. 残業や休日の稼働は多いですか?
勤務先の会社や契約形態によって異なりますが、繁忙期(年末年始・大型連休前など)は残業が発生することがあります。しかし、コンビニ配送はルートが固定されているため、他の配送業務に比べると残業は少ない傾向です。
最近では稼働時間の管理を徹底している会社も増えており、法定時間内で働ける職場も多く見られます。事前に求人情報で「残業の有無」「休日数」を確認しておくと安心です。
コンビニ配送は未経験のドライバーにおすすめ
コンビニ配送には、体力的な負担の大きさや厳しいルール、収入面での伸び悩みなどから、「きつい」「やめとけ」といった声が聞かれることもあります。
しかし、景気に左右されにくく安定した需要があることに加え、業務内容は比較的シンプルで、未経験の方にも始めやすい職種である点は大きな魅力です。
今回ご紹介したメリット・デメリットを踏まえ、自分に向いているかどうかを見極めた上でコンビニ配送の仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
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